カジノ法案可決で統合型リゾートはどこで実現?万博と二兎追う大阪、首都圏横浜・台場…

「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(通称、カジノ法案)は12月2日の衆院内閣委員会で自民党、日本維新の会などの賛成多数で可決されました。採決の強行に対し、民進党は抗議し、共産党は反対。公明党は自主投票とし、賛否が分かれました。

自民党は6日に衆院を通過させ、早ければ9日の参院本会議で可決・成立させたい考えで、成立の公算が大きくなりました。

以前、大阪万博2025年誘致へ、という記事を書きましたが、大阪府と大阪市は「夢洲」に万博と統合型リゾートをセットで呼び込もうとしています。

しかしもちろん、他にも誘致自治体はあります。果たして、どこが最初に実現することになるのか、見ていきたいと思います。

急ぐ自民、依存症懸念は消えず

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aaa 議員立法のカジノ法案は先月30日、衆院内閣委員会で審議入り。自民党は今国会初の論戦で、改めて経済効果を強調しました。12月14日までの会期延長に乗じて一気に成立させる構えです。

しかし、ギャンブル依存症の増加を懸念する声は根強く、実現への課題は残ったままです。

 超党派の議員連盟会長を務める自民党の細田博之総務会長は提案者として答弁に立ち、IRについて「建設需要や雇用創出、観光客増加、カジノ収益による財政改善が期待される。経済効果はほかの地域にも波及する」とメリットを並べました。これに対し、共産党の島津幸広氏は「世界のカジノは斜陽産業といわれている。韓国のカジノ業界は中国人観光客の減少で存亡の機にある。日本に誘致するのは無謀だ」と推進派を批判しました。さらに公明党の佐藤茂樹氏は、ギャンブル依存症の増加やマネーロンダリング(資金洗浄)などの違法行為、暴力団の関与、青少年の健全育成への影響といった問題点を指摘。共産党からも懸念する質問が出ていました。

 カジノへの入場者は主に外国人旅行客を想定しています。それ以外の入場をどこまで認めるかは今後の課題ですが、自民党の西村康稔氏は、ギャンブル依存症患者を家族の申請で入場制限しているシンガポールの例を紹介。また「当初は2、3カ所で限定的に設置し、検証しながら区域を増やす」と答弁し、カジノが全国に乱立することはないとの見解を示しています。

実はたくさんある構想自治体

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上の地図を見てみてください。実はこんなに構想自治体があります。

大きく分けて、都道府県主体で構想しているところと、市町村や商工会議所などが主体で構想しているところがあり、各新聞報道を見てみると、有力と言われているのは以下の箇所です。様々な報道記事から情報をまとめてみました。

東京都・お台場

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IR法案が議論される以前、最有力候補地といわれていたのは東京と沖縄。もともと、東京都はカジノに積極的で、石原慎太郎都知事(当時)は都庁内に模擬カジノをつくり、プレイベントを開催するほど熱を入れていましたが、2014年に舛添要一都知事が誕生すると、東京都はカジノに対して消極的な姿勢に。

お台場に用地も確保されていますが、舛添都政ではギャンブル依存症や犯罪の温床になる危険性といった負の部分をきちんと検証することになり、現在は慎重な立場になっています。カジノに懐疑的だった舛添氏の影響もあって東京はカジノレースから後退。

今年から新たに就任した小池百合子都知事は築地市場の豊洲移転や東京五輪の問題に忙殺されているので、とてもカジノまで手は回らないのが実情。小池都政下における東京都のカジノへのスタンスは現在のところ不明です。

神奈川県横浜市

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現在、カジノ有力候補地として台頭しているのが神奈川県横浜市です。横浜市は安倍内閣の陰の実力者・菅義偉官房長官の地元という強味を生かし、横浜財界はカジノ誘致を菅官房長官に働きかけてきました。そうした働きかけが実り、横浜市はカジノ最有力候補地と目されています。

横浜にカジノが開設されることになったら、カジノの運営業務を担おうと、東京―横浜間に路線を有する京急(京浜急行電鉄)は色めき立ち、横浜への本社移転計画も登場しています。

横浜商工会議所は、横浜市内にIRを設置した場合、5595億~6710億円の経済波及効果があるなどとした報告書を公表しています。統合型リゾートは山下ふ頭やみなとみらいなど横浜の臨海部に誘致する想定です。実現した場合、施設などの建設費は2500億円、カジノの売上高は1400億円で、来場者数は年間2100万人とみています。

大阪府・舞洲

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当ブログでも以前紹介した舞洲。大阪府と大阪市は、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)への設置を想定しています。

誘致を目指す2025年万博の会場候補地でもあり、府の万博基本構想案では市内中心部と結ぶ地下鉄やJR線の延伸など関連事業費に700億円以上を見込みます。万博とIRをセットで呼び込んで周辺インフラを整備し、ベイエリアの活性化をもくろみます。つまり万博とカジノを夢洲で二兎を追う形です。

さらにアメリカのカジノ運営大手、MGMリゾーツ・インターナショナルのSGPのエド・バウワーズ氏はロイターのインタビューで日本のカジノ推進法案が今秋の国会で通過すれば、東京よりも先に「2019年末までに大阪にカジノが誕生する可能性がある」と回答しています。MGMは首都圏と大阪両都市でIRの運営に関心を示していますが、大阪については、すでに5000室を完備する2つの大型ホテルや、2万席を有するエンターテインメント・アリーナなどを含むプランを関係者に提示しているとのことです。

万博誘致が成功すれば、万博とIRの建設で鉄道などベイエリアのインフラ整備が大幅にすすみ、現在関西空港から「京都への通過場所」になっている大阪に大きな観光資源ができることになります。

詳しくは過去記事をご覧ください

和歌山県

なぜ、和歌山なのか。和歌山が急浮上しているのは、自民党の実力者である二階俊博幹事長の影響力が反映されたものだといいます。「横浜財界の関係者たちは、カジノ誘致で二階詣でをしています。その際、『カジノは横浜と和歌山で』といった話も出ているようです」(業界紙記者

神戸や京都といった観光地を抱える関西地方のなかで、全国的に見れば和歌山は地味な存在と思われるかもしれないませんが、和歌山は関西空港からの便も悪くなく、南紀白浜のようなリゾートもあります。

昨今は訪日外国人観光客も増加しており、特に熊野古道は根強い人気を誇っています。それだけに行政関係者たちから、和歌山は訪日外国人観光客を呼べる観光地の優等生とも称されるほど。「カジノを和歌山へ」は、決してあり得ない話ではないのです。

政界もカジノを開設する都市選びには慎重になっており、関係者の間では「当面は2カ所」ともいわれています。

カジノが和歌山に決まったら、距離的に近い大阪にカジノは難しくなります。現在、和歌山のどこにカジノを開設するのかといった具体的な地名は浮上していませんが、大阪を脅かす大きな存在になっているのは間違いありません。

長崎県佐世保市・ハウステンボス

HISが経営に参画し、超V字回復を実現し一大観光地として名を挙げる佐世保市のハウステンボス。ホテルやレストラン、劇場などと組み合わせた統合型リゾートとして官民でつくる研究会が2007年から誘致活動を進めています。

ハウステンボス内には“模擬カジノ”施設もあります。合法化された場合には、より広いスペースに巨大な施設を建てる計画だといいます。

ハウステンボスは既に、カジノ合法化をにらんで運営のノウハウを蓄積するため、2012年から公海上でカジノの営業を始めています。

沖縄県

沖縄県は、前述の通り東京都と共に最有力でした。しかし「カジノ反対派」だった翁長知事が知事に就任し、状況は一変。

一部では「辺野古移設と引き換えに沖縄にカジノ」という報道もなされましたが、そもそも翁長知事は辺野古移設反対派ですからね、引き換えもできません。

ちなみに翁長知事はなぜかシンガポールにカジノの視察に行っています。カジノ施設を視察した理由については「実際に見た上で(導入に反対する)自分の判断が正しかったかを考えたい」と説明していますが、果たして。。

おわりに

というわけで、カジノ構想の有力候補地についてみてきましたがいかがだったでしょうか。

個人的には横浜・大阪で決まりそうな気がしています。

合法化への批判も多いですが、安倍政権の「経済活性化」の目標への近道なのでしょう。シンガポールやアメリカなどでは、ギャンブル依存対策も進んでいますし、それらを見習って不安を払拭してほしいものです。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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