西日本豪雨で大動脈寸断 JR西日本・山陽線など被害甚大、全線復旧は11月 貨物輸送できず物流に大きな影響も

7月5日から8日にかけ、西日本の広い範囲で降った記録的な大雨。気象庁により「平成30年7月豪雨」と命名され、京都府をはじめとする計11府県に対して大雨特別警報が発令。7月16日時点で216名が死亡するなど、歴史的な大災害となりました。

この西日本豪雨により、全国の広い範囲で鉄道路線にも被害が発生しました。とくに大きな被害を受けた中国地方では、JR西日本の多くの路線が甚大な被害をうけ、復旧に1か月以上も要する路線もあります。

7月17日時点の運転状況と、被害状況をまとめます。

【更新:7月18日のJR西日本の発表を受け内容追記】

JR西日本プレスリリース

 

まず、JR西日本が発表している「復旧までに1か月以上を要すると想定される線区」は以下の通りです。

  • 山陽本線/三原~海田市・柳井~徳山
  • 姫新線/上月~新見
  • 津山線/野々口~牧山
  • 伯備線/豪渓~上石見
  • 芸備線/新見~下深川
  • 福塩線/府中~塩町
  • 因美線/津山~智頭
  • 呉線/三原~海田市(全線)
  • 岩徳線/岩国~櫛ヶ浜(全線)

JR西日本によれば、把握しているおもな被災箇所数は、279カ所におよぶといいます。上記線区では、大半が土砂流入斜面崩壊盛土流出といった被害が起きており、これらの土砂除去作業や盛土の回復に時間がかかる見込み。一方電化区間の山陽本線や伯備線では変電所が水没するという深刻な事態に陥っていて、こちらも復旧には相当の時間がかかるとしています。山陽本線では、全線復旧は11月頃になると見込まれています。

今後の運転再開見込みは以下の通りです。
山陽線
8月1日 下松~徳山
8月中旬 瀬野~海田市
9月中 柳井~下松
10月中 白市~瀬野
11月中 三原~白市
姫新線] 数ヶ月後~年内 上月~新見
津山線] 8月上旬  玉柏~野々口
伯備線] 8月中旬  豪渓~上石見
芸備線
7月23日 下深川~広島
9月中   狩留家~下深川
数ヶ月後~年内 新見~備後落合
運転再開まで長期間 備後落合~狩留家
福塩線] 7月22日 福山~神辺
運転再開まで長期間 府中~塩町
因美線] 数ヶ月後~年内 智頭~津山
呉線
8月上旬 坂~海田市
11月中  広~坂
2019年1月中 三原~広
岩徳線] 10月中 岩国~櫛ヶ浜
山陰線] 7月21日 益田~東萩
木次線] 運転再開まで長期間 出雲横田~備後落合

この影響により、伯備線を通過する特急「やくも」と寝台特急「サンライズ出雲」(「サンライズ瀬戸」を含む)、因美線を通過する特急「スーパーいなば」の全面運休が続いています。

このほかJR西日本では、山陽本線の福山~三原間(18日運転再開)、舞鶴線の西舞鶴~東舞鶴間(早くても20日以降運転再開)、因美線の用瀬~智頭間(18日運転再開)、津山線の牧山~玉柏間(1か月以内に復旧予定)、福塩線の福山~神辺間(1か月以内に復旧予定)、芸備線の下深川~広島(1か月以内に復旧予定)で現在復旧作業を行っています。

これらの状況を受けてJR西日本では、山陽本線については山陽新幹線・新倉敷~広島間と新岩国~徳山間で「ひかり」「こだま」の普通車自由席に限り、普通乗車券で利用できる代替輸送を実施しています。

一方、橋りょう流出で予讃線本山~観音寺間が不通となっているJR四国では、当面の間、同区間を通過する「しおかぜ」「いしづち」などの特急のうち、岡山・高松~多度津間と観音寺~松山間のそれぞれで上下各7本が部分運休。普通列車は児島~多度津間で8本、高松~坂出間で2本、観音寺~伊予西条間で12本を運休として、線路の復旧を行います。

土砂流入により、高山本線の飛騨金山~下呂間と飛騨古川~猪谷間で運転を見合わせているJR東海では、同区間を通過する特急「(ワイドビュー)ひだ」を7月11日以降全面運休としています。飛騨金山~下呂間は当面の間、上下線で列車の運転を見合せ、運転再開までの間、バスによる代行輸送を行います。復旧の見込みは立っていません。

JR九州では、運転を見合わせている肥薩線の八代~人吉間は19日に運転再開を予定していますが、築堤崩壊、切取崩壊など多数の災害が発生した筑豊本線(原田線) の桂川~原田間で運転見合わせが続いており、運転再開には期間を要する見込みです。

JR貨物のディーゼル機関車DF200形

また、影響を受けるのはヒトの輸送だけでなく、モノの輸送にも大きな影響が出ています。

西日本豪雨でJR山陽本線が寸断され、運休が続いているJR貨物は、山陰線などを走る「迂回輸送」の検討を始めました。迂回輸送で山陰線を貨物列車が走るのは、阪神大震災があった1995年以来となります。

現在、在来線の運休区間は現在、山陽線の倉敷(倉敷市)~新南陽(山口県周南市)、予讃線の宇多津(香川県宇多津町)~松山(松山市)など。

とくに山陽線は九州と全国をつなぐ「大動脈」全国の貨物輸送の3分の1にあたる1日約3万トンを輸送しています。

完全復旧には数カ月かかるとみられており、12日には、トラックと船を使った代行輸送を始めましたが、輸送できる量は通常時の1割にとどまるといいます(朝日新聞)。

運搬しているのも、宅配便や農産物、自動車部品などさまざま。すでに九州や中国地方の工場などで、関東などからの部品等が輸送できず、工場稼働に支障が出ています。また宅配便などの輸送にも、代行輸送が間に合わず遅れが出ている。

貨物列車の迂回輸送は、簡単なことではありません。まず山陰線はほとんど電化されていないため、一部でしか使っていない非電化区間で走れるディーゼル機関車が必要となります。また、山陰線の多くの区間は貨物列車が初めて走るため、線路が重さに耐えられるかどうか検証する必要もあります。実際の運行の前には、運転士の訓練も必要となってくるでしょう。そして実現したとしても山陰線は単線なので、山陽線ほどの輸送量は確保できません。

日本の大動脈・山陽線の不通が長引けば、今後の経済活動に大きな影響が出そうです。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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