九州大・伊都キャンパスへ鉄道延伸案 JR筑肥線・波多江駅から延伸、糸島市が調査結果まとめる

九州大学の伊都キャンパスへの移転が今年秋に完了します。そんな九大伊都キャンパス(福岡市西区・糸島市)への交通アクセスについて、糸島市は「JR波多江駅との間に鉄道を整備するのが適当」とする調査結果をまとめました。

提供:福岡市/撮影者:Fumio Hashimoto

九州大学は箱崎地区、六本松地区、原町地区のキャンパスを統合移転し、福岡市西区と糸島市にまたがる伊都キャンパスへの移転を進めており、2005年の移転開始から13年、今秋にも完了します。

伊都キャンパスへのアクセスは、博多・天神からバスで40~50分、JR筑肥線九大学研都市駅からのバスで13分。JR筑肥線で博多駅~九大学研都市駅間は約30分で、いずれのルートでも福岡市中心部から40分以上かかり、実際には渋滞やバス待ちがあり、さらに時間がかかっているのが実情です。

糸島市では昨年度、大学アクセス改善のための調査をコンサルタント会社に委託して調査。その結果がまとまりました。

伊都キャンパスの玄関口として2005年に開業した九大学研都市駅

交通アクセスの現状について、JR九大学研都市駅での路線バス待ち行列や道路渋滞の発生など課題が顕著と指摘。解決には「基幹的な公共交通システムの導入が必要」とし、鉄道モノレール・AGT(新交通システム)LRT(次世代型路面電車システム)の3方式を比較し、妥当性を検討しました。

モノレール・AGTは建設費が最も高く維持費もかさみ、LRTは建設費は一番安いが維持費がかかるとしました。一方鉄道は、JR筑肥線・福岡市営地下鉄空港線への直通運転が可能、各拠点からの所要時間を大幅に短縮できる、単線で最低限度の運行頻度を確保した場合に建設費と今後50年間のコストは最も安価である、といった利点があり「鉄道が適当」と結論付けました。

キャンパスと結ぶ区間は九大学研都市駅、周船寺駅とも比較され、建設に支障のある建物が比較的少なく、大学までの直線距離が4km以内と最も近いJR波多江駅と大学を結ぶ区間が実現性が高いとしました。

運営方式は建設主体と運行主体を分ける上下分離方式を提言。鉄道の需要を1日8500~1万2000人と予測。年間5億4000万円~7億6000万円の収入があり、年間管理維持費は4億円と推計指定しています。概算の事業費は260億~290億円で、50年以内に黒字化できると予測しています。

キャンパス移転が完了すれば、伊都キャンパスは教職員・学生合わせて約1万9000人規模となります。糸島市では伊都キャンパスを核にした学術研究都市づくりを計画しており、交通アクセスの拡充は重要課題だとしています。しかし事業費は200億円を超えるため、市では今後、県や大学、経済界の関係者らと最適な方法を探るため検討する必要があるとし、先行きは不透明としています。

JR筑肥線・波多江駅~九州大学伊都キャンパス間は、直線距離で約4km。詳細なルートは決まっていませんが、波多江駅を出てすぐに北上し、九州大学伊都キャンパスの西端付近が終着になる見通しです。中間付近に「いとしま駅」(仮称)を設置するとしています。

「九大新線」を仮にこのルートで建設するにあたり、検討されている「筑肥線への直通列車」は本当に実現するのでしょうか。

JR筑肥線では2018年現在、日中に毎時4本運行、朝のラッシュ時には7本運行されており、日中の列車のうち2本が西唐津発着、2本が波多江駅より西の筑前前原駅で折り返し運転しています。

もし「九大新線」ができて直通運転をするとなると、筑前前原の折返し列車を振り分けるか、単に筑肥線の運行本数を増やすか、波多江―伊都キャンパス間の折返し運転か、ということになるでしょう。

筑前前原駅は糸島市の中心駅で、1日の乗車人員は7,353人。筑肥線では九大学研都市駅の8,264人に次いで2位となっています。つまり沿線でもターミナル駅となっている筑前前原駅の列車本数を半減させるのは無理でしょう。

また福岡市営地下鉄空港線との直通運転は、姪浜止まりの列車を新線やJR筑肥線に振り分ければいけないこともなさそう。

現実的にはラッシュ時には筑肥線・地下鉄との直通運転、日中は波多江―伊都キャンパス間の折返しとするのが適当と言えるでしょう。

福岡市中心部からの利便性を考えるなら、鉄道の優位性は間違いありません。九州大学や、ベッドタウンとして急成長する糸島市ののインフラという側面もあり、念入りな検討をして実現を期待したいところです。

 

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mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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