《AppleのWWDC 2018まとめ》発表されたiOS 12、macOS Mojaveなど要点をまとめる ARKit2は未来への布石か

6月4日(日本時間5日午前2時)、Appleの年次開発者カンファレンス「WWDC(Worldwide Developers Conference)」が米サンノゼで開幕しました。

今回のキーノートスピーチ(基調講演)ではハードウェアの発表はなく、本来のWWDCの目的である「ソフトウェア」の発表が行われ、次期ソフトウェアであるiOS 12や新watchOS、新macOSなどが発表されました。

今回はそんなWWDC 2018で発表されたコトを要点だけまとめてみます。

Apple – WWDC 2018

iOS 12は速度・安定性向上がメインに

iPhone・iPadの次期OS、iOS 12は、見た目より中身追求型のアップデート。役立つ新機能も発表されましたが、幅広いデバイスをサポートするなど機能強化よりも速度向上・安定性向上といったユーザ体験の向上がメインになりました。配信は2018年秋の予定です。

5年前のiPhone 5sも対応機種

まず驚きだったのが対応デバイス。2013年に発表された「iPhone 5s」も対応デバイスに名を連ね、これでiPhone 5sはApple史上最高の5回のアップデートを行えるデバイスになりました。iOS 12の対応機種は以下の通り。

  • iPhone……iPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone SE、iPhone 5s
  • iPad……iPad Pro(12.9型の第1~第2世代)、iPad Pro(10.5型)、iPad Pro(9.7型)、iPad(第5~第6世代)、iPad Air 1~2、iPad mini 2~4
  • iPod touch……iPod touch(第6世代)

そして強調されたのが「速度向上」。iOS 12ではアプリの起動が最大40%高速化キーボードの表示は最大50%カメラの起動は最大70%高速になります。古いiPhoneでもサポート対象であるiOS 12では、最も重視されたのは性能向上だといいます。高速化を達成できた要因の一つが、CPUの負荷が高まった際に、負荷を掛けるまでの高速化を行うようにしたこと。ユーザに使いやすい端末としてより進化するようです。

ARKit2が登場、AR体験の共有が可能に

一方で新機能の追加もいくつか。まずはAR(拡張現実)プラットフォームの新バージョンARKit 2を発表しました。

ARKit 2は新たに3Dオブジェクト検出、複数ユーザーが同じARシーンを各自の視点から同時に体験できるShared Experience、シーン全体の状態を保存再開できるPersistent ARなどに対応します。

まず大きな特徴が、ひとつのAR環境に複数のデバイスが接続できるようになること。レゴのデモでも、実際に作ったレゴを基点にふたりの人が様々なARオブジェクトを配置して楽しんでいます。AR内の仮想オブジェクトの状態も同期することで、ARを使ったゲームの対戦なども作りやすくなります。

そして従来の平面画像に加えて、現実の物体の検出とトラッキングも可能に。製品のパッケージやおもちゃなどを認識して、ARを重ねられるようになります。デモの例では組みあがったレゴの建物を検出して、ほかの建物や動くキャラクターを追加。オブジェクトをトラッキングできるため、現実のレゴの建物の内部をARで透視するといった見せ方も行っていました。

これらを活用して、Appleは純正のAR定規アプリ「Measure」をiOS 12から追加します。すでにサードパーティー製のアプリがありますが、始点に標準を合わせてタップし、別の場所に合わせてタップすれば距離を測定。引っ越しのときの計測などかなり楽になりそうです。

また、Pixarと協力しながら策定された「USDZ」というAR向けファイルフォーマットを発表しました。様々な場面(ニュースアプリ、ウェブサイトなど)にARオブジェクトが埋め込めるようになるほか、ファイルを共有することもできるのでARオブジェクトを送受信したり、自分の部屋にARオブジェクトを置いてみたりといったこともできます。Adobeも、このUSDZをネイティブサポートするということです。

Siriにはショートカット機能が追加

おなじみの「写真」アプリは、「検索提案(Search suggestion)」という機能が追加されます。Googleの「Googleフォト」ではおなじみとなっている機能ですが、写真にうつっている顔などの情報をもとに検索候補が表示されるようになりました。重要な瞬間やユーザーにとって重要な人々をハイライトすることが可能で、場所やカテゴリごとに写真を分類することもできます。

Siriはおすすめショートカットの2つの新機能が追加されて便利になりました。おすすめ機能では、iPhoneに溜まった個人のデータをもとに日課を割り出し、現在地に応じてSiriがプッシュ通知ですすめてくれます。Walletアプリに映画のチケットがあれば、上映時間帯には「バイブにしたほうがいいよ」とおすすめし、連絡先に誕生日の人がいれば、「今日はおばあちゃんの誕生日。電話しよう」と言ってくれるみたいです。「ショートカット」はGoogle Homeユーザにはおなじみの機能。よく使うアプリの起動コマンドを保存できる機能で、鍵をなくしたときTileアプリをいつも使っているのなら、「鍵をなくした」と言いつけるだけでTileアプリが開くように設定しておけます。

iOS 11で登場したAnimojiは、「」に対応し、4つの新キャラが投入。カスタムAnimojiが作れるという「Memoji」が発表されました。自分の顔に似せたMemojiを作れば、自分の分身をメッセージやFaceTimeで動かせます。これでFacetimeがグループビデオ通話に対応すると共に、Animoji/Memojiを付けながらできるようになりました。

iPhoneの使いすぎを防ぐ

Googleに続き、Appleも携帯中毒を撲滅しようとデジタルデトックスサービスを実装しました。

Appleは「Screen Time」というアクティビティ管理機能を用意し、アプリの使用時間やWebサイトの閲覧時間などを簡単に確認できるツールで、使いすぎないようにアプリごとの使用時間制限を設定することも可能。ペアレンタルコントロールと連動しており、保護者による子どものアクティビティ管理もできます。

通知に邪魔されず、必要な通知のみを受け取れる環境を整えられるように、ロック画面から通知の管理を行えるようにもなりました。不要な通知を受け取ったら、通知から設定を呼び出して「Deliver Quietly (静かに配信)」や「Turn Off.. (通知を無効)」などに変更できます。また、ロック画面が通知で埋め尽くされることなく、効率的に通知を処理できるように、同じ種類の通知をグループ化する新たな表示がiOS 12から登場します。

さらにこれまでもあったDo Not Disturb (おやすみ)機能を改善。時間だけではなく、ロケーション機能を使って「会議室を離れたらDo Not Disturbを無効にする」など、柔軟な設定が可能。会議中、集中して作業したい時、就寝時間など、通知やメッセージなどに邪魔されない時間を作り出しやすくなりました。

macOS Mojaveはフルダークモードが追加

今年の新macOSの名前は砂漠の名前からとった「Mojave(モハーヴェ)」。かねてより要望の声が多かったというダークテーマが追加されただけでなく、デスクトップの自動整理機能「スタック」やFinderのアップデートなどが発表されました。パブリックベータ版は2018年夏に配信され、最終的なリリースは秋頃を予定しているとのことです。

最も大きな変更点が「ダークテーマ」の追加。Macらしからぬ黒を基調としたデザイン。

また、Mac App Storeのデザインも変更されます。Appleによれば、こうすることで目が楽になるだけでなく、写真がより引き立つように。XCodeの新しいスキンもついてくるのでコーディングしやすくなるそうです。

そして便利になりそうなのが、デスクトップのファイルを自動で整理してくれる機能「スタック」の搭載です。画像や文書の種類、日付、タグなど属性でファイルを自動グループ化し、デスクトップにファイルをバラまいても、自動でに分類されます。もう、ゴチャゴチャデスクトップとはさよならです。

Finderがアップデートされ、Finderのウィンドウ内にファイルのメタデータを表示したり、複数のファイルをPDF化する、透かしを入れるなど、別途編集アプリを開かなくても可能になり、ファイルに対して実行できるアクションが豊富になるようです。またFinderの便利なファイルさっと見機能「Quick Look」からドキュメントにサインしたり動画の長さを編集できたりできるようになります。

スクリーンショットは、撮り方そのものは変わりませんが、画像を撮ってすぐ右下にサムネイルが見られ、それをダブルクリックするとマークアップで開いてちょっとした編集も可能になりました。そしてようやくMacでも、動画でも撮影できるようになりました。

さらにiPhoneとのカメラ連携が可能になりました。「Continuity Camera」機能では、iPhoneとMacの間をシームレスにし、これまでのファイル共有などに加えてカメラがシームレスにiPhoneで写真を撮ると、その画像をすぐにMacで使えるようになります。あれ、これ、スキャナーキラーかも?

このほか、Mojaveでは2019年後半以降に開発者向けに提供される、iOSアプリからmacOSアプリへの移植を容易にする新しい開発フレームワークのプレビューも提供します。iOSのUIKitフレームワークの要素をmacOSに統合させて、AppKitフレームワークと同じように使用することができるようになり、iOS/Mac双方で動くアプリが作りやすくなります。まずはiOSアプリから、株価、ニュース、Home、ボイスメモが追加されるということです。

そして発表会では「macOSとiOSを統合する予定はありますか?」という質問に対し、「No.」と大画面で表示され、会場は爆笑に包まれていました。

watchOS 5はトランシーバー機能が目玉?

Apple Watch向けのOS「watchOS」の最新バージョンとなる「watchOS 5」では、Apple Watch同士でトランシーバーのように会話できる「Walkie-Talkie」や、進化した運動量計測機能、Siriウォッチフェイスのサードパーティーアプリサポートなどが発表されました。こちらも今秋リリースです。

まずは運動量計測機能の強化。「Activity Competitions」は、他のApple Watchユーザーとアクティビティ(活動状況)を共有できる機能。「アクティビティリング」の達成度を相互に確認したり競ったりすることもできます。

そしてワークアウト機能はこれまで以上にさまざまな種類の運動を正確に計測できるように進化しています。「自動ワークアウト検出」は、ワークアウト(運動)の開始時に適切なワークアウト種別を選ぶように促す機能で、万が一選び忘れた場合も種別を推測して開始時点にさかのぼって記録を取ってくれたり、ワークアウトを終了することを忘れた際に、通知した上で自動終了する機能も備えています。

一番の目玉と思われる新機能「Walkie-Talkie」は、Apple Watch同士でトランシーバー通話ができる機能です。画面上の「TALK」ボタンを押している間、話すことができる。Wi-Fiモデルおよびセルラーモデルでインターネット接続時に利用可能です。なお、この機能は中国、アラブ首長国連邦(UAE)とパキスタンでは利用できないので渡航される方は注意。

そして音声エージェント「Siri」も機能強化。日常習慣や行動、ワークアウト後の生体データを機械学習で解析して、より積極的に情報のサジェスチョンをするようになります。「Siriウォッチフェイス」については、サードパーティー製アプリによるコンテンツ表示も可能となります。通知機能では、サードパーティー製アプリにおける双方向操作に対応。通知からアプリを開かずに必要な操作を行えるようになります。

 

というわけで、長々とApple WWDC 2018をまとめました。今回の大きなポイントとなるのが、やはりiOS 12でのAR機能強化でしょう。オープンなARファイル形式も登場し、これからの未来に大きな布石を打ったことになります。ところでApple純正のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とかARメガネとかは出ないんでしょうかね。期待されていたiPhone SE 2(仮)やMacbookのアップデートもなし。秋のイベントを期待したいと思います。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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