北陸新幹線の大阪延伸3ルートの検討結果を国交省が発表 舞鶴ルートは脱落

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こんにちは!ガジェットニュース、ないですねえ…

というわけで今回は北陸新幹線の延伸についてです。

北陸新幹線の福井県・敦賀から大阪までのルートについて、国土交通省は11日、福井県・小浜から南下し京都経由で新大阪に至る「小浜京都ルート」と、滋賀県・米原で東海道新幹線につなぐ「米原ルート」が投資に見合う効果が見込めるとの試算を公表しました。

その結果、京都府が全力で推していた舞鶴ルートは事実上の脱落となり、与党のプロジェクトチームは、国交省から示された3ルートの事業費などの試算を基に、今後、ルートの選定に向けた検討作業を本格化させ、年内に絞り込んでいくことになりました。

それでは詳しく見ていきましょう!

小浜・米原案は費用対効果1.0越え

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国土交通省鉄道局は11月11日、北陸新幹線の敦賀~大阪間について、小浜-舞鶴-京都ルート、小浜-京都ルート、米原ルートの検討結果を発表。京都・新大阪駅は地下駅、米原・東舞鶴・東小浜・学研都市付近は地上駅を想定し、建設費などを算出。費用対効果(総便益/総費用)も試算しています。

同区間の概算建設費については、都市部地下はシールドトンネル、山間部は山岳トンネルと想定、用地取得費などは公示地価を参考に、建物補償費などは過去実績を考慮したうえで算出しました。

最も建設延長距離が長い小浜舞鶴京都ルート(約190km)は、敦賀―小浜市(東小浜)―舞鶴市(東舞鶴)―京都―新大阪の5つの駅を設置予定。建設費は約2兆5000億円費用対効果は0.7で最も低くなりました。

小浜京都ルート(約140km)は、敦賀―小浜市(東小浜)―京都―新大阪の4駅を設置予定。建設費は約2兆700億円費用対効果は1.1

米原で乗り換えが必要となる米原ルート(約50km)は、敦賀と米原に駅を設置予定。建設費は約5900億円。費用対効果は2.2

3ルートの工期は舞鶴・小浜経由が15年に対し、米原ルートは10年と見込んでいます。

運賃・所要時間ともに小浜ルートが優勢

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開通した場合、敦賀-新大阪の所要時間は、小浜-京都ルートが最短の43分舞鶴ルートが60分、東海道新幹線への乗り換えが必要な米原ルートは67分です。

運賃は、敦賀―新大阪間で小浜-京都ルートが最も安い5380円舞鶴ルートが6460円米原ルートは6560円となりました。

また参考として、関西文化学術研究都市経由について小浜舞鶴京都ルート・小浜京都ルートを試算。こちらは両ルートとも所要時間3分増、建設延長10km増で、費用対効果は舞鶴ルートが0.6、小浜ルートが0.9とです。

この結果、京都府・舞鶴を経由する「小浜舞鶴ルート」は0.7で、投資に見合わないとしました。税金を投入する整備新幹線の着工はこれまで費用対効果が1を上回ることが条件の一つとされてきました。

国交省の発表は同日開催の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)に提示され、座長を務める自民党の茂木政務調査会長は、3つのルートから年内に一定の方向性を出す考えを示し、試算を基に、今後、ルートの選定に向けた検討作業を本格化させ、年内に絞り込んでいくということです。

沿線府県の思惑が交錯

北陸新幹線の敦賀以西ルートは決定が難航し、沿線となる各自治体がそれぞれの試算を出すなど、思惑が交錯していました。

福井県は小浜ルートを推し、京都府は舞鶴ルートを、滋賀県は米原ルートを推してきました。さらに奈良県も、京都―新大阪間を、北側ルートではなく南側の関西文化学術研究都市を経由するルートを推進。終点となる大阪府は「どのルートでもいいから早期実現を」と、各自治体がバラバラでした。

さらに前地方創生担当相で、「山陰新幹線を実現する国会議員の会」会長の石破茂氏は、福井県高浜町で10月30日に行った講演で「日本全体を見た場合、舞鶴を通り、日本海側から山口県につなぐ新幹線が必要」とし、舞鶴ルート実現を足掛かりに、基本計画のままとなっている山陰新幹線の整備計画への格上げの必要性を主張しました。

新幹線は地域を活性化するか

金沢駅にて

金沢駅にて

このような思惑が交錯したのは、新幹線という高速交通がもたらすパワーと、その影で苦境を強いられる在来線です。

以前、当ブログでもご紹介した、北海道新幹線が意外に好調で、新幹線を利用しない観光客も増加した、というニュース。

詳しくは以前の記事に掲載していますが、北海道新幹線が開業後、半年で乗車率は想定越え、開業前の利用者を大幅に上回る好調ぶりを記録しました。

その結果、競合するフェリーもなぜか旅客が増加し、航空機の客も大きくは減っていません。つまりは新幹線が開通したおかげで北海道旅行への機運が高まり、北海道全体で観光客が増えたのでしょう。

2011年に前線が開業した九州新幹線も、開業5年で延べ6000万人を上回る乗客を運び、在来線時と比べた乗客数は、博多―熊本間が1.48倍、博多―鹿児島中央間が1.58倍となり、高速バスなど他の交通機関も、開通前よりも乗客が増えています。

 

しかし一方で、新幹線に並行して運行されている在来線、「並行在来線」の問題があります。新幹線が開業すると、在来線は利用者数の低下が見込まれることから、JRの経営から分離することになっています。利用者数が減るとはいえ、地域住民の足を確保する意味で、廃線にはせず、第三セクターとして存続するケースが多いのです。

並行在来線の経営分離は、運賃の大幅な上昇を招き、利用者の発掘をしなければ経営状況は悪化する一方になってしまいます。 北陸新幹線の第三セクター4社も例外ではありません。各社とも旧JR運賃に比較して高い運賃となっています。それでも利便性を向上し、地域のために列車を走らせることが第三セクター鉄道に期待される役割であり、各社とも、新幹線との接続、朝晩の通勤・通学時間帯の増発を基本として利用者増加のためのプランを練らなければ生き残れません。

2015年の第三セクターの鉄道運営会社63社の全体経常損益で、経常赤字だったのは半数の35社に上ります。

143548148228523277178つまり交通インフラの変化に応じて、「ヒト・モノ・カネ」の流れが大きく変わるのです。

特に、JR西日本の真鍋社長が今年2月の記者会見で「北陸新幹線の敦賀以西延伸に伴って経営分離の対象となる並行在来線の取り扱いについて、湖西線が該当する可能性がある」と発言したことで、滋賀県が猛反発しています。JR湖西線は、京都から大津京や比叡山坂本・おごと温泉などを経由し、琵琶湖西岸を通って敦賀へ向かう路線で、人口が増加し続ける大阪京都のベッドタウンとしての滋賀県の通勤通学の足となっており、神戸方面まで直通する新快速も運行されています。

北陸の「関西離れ」解消へ早期延伸を

北陸新幹線長野-金沢間の延伸開業で、沿線の観光地はにぎわい、開業効果に沸く一方、開業から初めてとなった今春の大学入試で、関西の私立大学は北陸3県からの志願者数が軒並み減少。北陸から東京へのアクセスが大幅に向上して首都圏の大学に受験生が流れたとの見方があり、大学関係者は危機感を抱いています。

3年連続で志願者数日本一を狙う近畿大学では、今春の一般入試の志願者数が前年と比べ、富山県が10.5%、石川県は9.1%、福井県は11%、それぞれ減少した。一方で大学全体の志願者数は5.5%増加しており、北陸3県の減少は顕著となりました。関西大学でも、北陸3県からの志願者数は14.4%減少。関西とのアクセスが悪くなった富山県は21.3%減です。

関西の財政界では、北陸新幹線が早期に大阪まで延伸しなければ、これまでの北陸とのつながりが劣化し、北陸の人の流れが東京へとシフトしてしまうと危機感を募らせ、とにかく早い延伸を、と要望しています。

おわりに

というわけで今回は、北陸新幹線の敦賀―新大阪間のルート議論についてみてきました!

個人的にはとにかく早い開業を望みますが、ルートは今年にも決定するようで、なんとかこの難局は乗り切れそうです。JR西日本さんには(JR東海のように)強いリーダーシップを発揮して、まとめてほしいものです。

まあ、決まった後はリニア中央新幹線の名古屋―大阪ルートの議論が待っていますが…。

それでは!

【追記 2016.11.18】

政府与党は17日、北陸新幹線で未着工となっている福井県敦賀以西の延伸について、小浜から南下し京都経由で新大阪に至る「小浜京都ルート」とする方針を固めました。12月下旬の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームで最終決定し、政府・与党で合意する見通しであると、報じられました!

また与党は早期着工に向け、来年度予算案に延伸周辺地域の環境影響評価や詳細な設計のための費用を前年度比で2倍程度盛り込みたい考えとのことです。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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