スマートスピーカー戦国時代へ。Google、Amazon、LINE、Appleそれぞれのデバイスを比較する ”ポストスマホ”の未来のデバイスで何ができる?

9月から10月にかけ、続々とIT界の巨人たちから発表された「スマートスピーカー」。

AI(人工知能)を搭載し、話しかけるだけで聞きたい情報を答えてくれたり、好きな音楽を再生してくれたりするスマートスピーカーは、今秋から日本にもついに上陸します。スマートスピーカーは「”ポストスマホ”の大きなイノベーションだ」ともいわれる、まさにSF映画かのような未来のデバイス。日本でもGoogleやAmazon、AppleやLINEなど、馴染みある企業からスマートスピーカーが登場しますが、果たして家庭に根付くのか。

今回はスマートスピーカーで何ができるのか、それぞれの特徴をまとめて比較します。

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スマートスピーカーとはそもそも

明確な定義は決まっていませんが、「スマートスピーカー」とは、Wi-Fiなど無線通信を行ってクラウド上のAI(人工知能)につながり、音声操作のアシスタント機能を利用できるデバイスのことです。声で話しかけて、同じように音声で回答

予定や天気予報などの質問に答えてくれたり、音楽を流してくれたり、気軽に会話を楽しんだり、家電を操作したり、といったことをスマホの画面を見たりリモコンを取り出したり、ボタンを押したりせずに声だけで操作できるのが特徴です。

最初にこの分野で成功を収めたのはAmazon。米国でAmazon Echoなどを発売し、大ヒットを記録した結果、他のメーカーも続々と後を追い始めました。

そんなスマートスピーカー、自社のAIを搭載したデバイスとしては以下の4社のものが挙げられます。

  • Google「Google Home」(Googleアシスタント搭載)
  • Amazon「Amazon Echo」(Amazon Alexa搭載)
  • Apple「HomePod」(Siri搭載)
  • LINE「Clova Wave」(Clova搭載)

さらにはこれらのAIを搭載したサードパーティ製のデバイスとして、Microsoft・Sony・東芝・Panasonic・ONKYO・JBLなどなどが今年から来年の頭にかけて新デバイスの発表をする見通しで、ますます市場が加熱しそうです。

それでは日本でも発売される4つのデバイスに焦点を絞り、それぞれでできることを比較します。

Googleアシスタントは秘書のように。「Google Home」

Google Home

Google アシスタント」を採用するスマートスピーカー「Google Home(14,000円・税抜)」は、10月6日より日本での投入を開始しました。少し小さな「Google Home Mini(6,000円)」も10月4日の発表会で登場し、こちらは10月末に発売を開始します。

Google Homeでは「OK, Google」もしくは「ねえ、Google」と話しかけ、ニュースや天気情報、交通情報に加え「23×89は?」「月までの距離は?」など、ユーザーの知りたい情報を返答します。

いつものようにGoogle検索する感覚「ここから○○駅までの行き方」や、「この食材のカロリーは」など知りたいことを尋ねることができたり、タイマーや目覚ましをセットしたり、Googleカレンダーの予定を確認・登録したりすることも可能です。もちろんGoogleアシスタントと会話を楽しむこともできます。

ニュースの読み上げでは、日本の各メディアと連携しニュースのききとりが可能。媒体名を指定してニュースを聞くこともできます。

対応サービスは記事執筆時点で、朝日新聞アルキキ、NHK ラジオニュース、公式ITニュース(Voicy)、J-WAVE TOKIO HOT 100、スポニチ、TBS ラジオ、日経電子版NEWS、ニッポン放送、毎日新聞、ラジオクラウド、ラジオNIKKEIです。

Google Home Mini

また、Google Play MusicやSpotifyなどの音楽配信サービス、YouTubeやNetflixなど動画配信サービスとも連携します。音楽配信サービスはリリース時点で「うたパス・ビデオパス」「Google Play Music」「Spotify」「Netflix」「ラジコ」「YouTube」で、音楽なら「○○のプレイリストを再生」「○○の曲を流して」というとすぐに再生を開始してくれます。動画配信サービスでは、テレビにHDMIで接続するストリーミングデバイス「ChromeCast」と連携させ、例えば「OK Google、Netflixで『ウォーキング・デッド』を再生して」などと話しかけると、テレビで自動的に再生が開始します。再生中は「一時停止して」などと声で操作もできます。

このほか、Google Homeと連携できるActions on Google機能も用意し、スマートフォンで調光できるLED照明「Hue」などスマートホーム用デバイスとの連携で、電源オンオフや明るさの調節を「OK Google、電気を消して」といった音声で操作できたり、スマートフォンで使っているアプリを声で呼び出したりできるようになります。サービスの開始は近日中に順次開始され、現時点ではAmebaやSUUMO、食べログといったサービスが対応を発表しています。

さらには話者の識別機能もあり、最大6人のユーザーを識別することが可能。家庭内でお父さんが聞けばお父さんの、お母さんが聞けばお母さんのスケジュールが読み上げられるといった具合で、1台のデバイスを家族で共有できます。

世界最大の検索システムをもつGoogleが、長く培ってきた音声技術とAI技術を詰め込んだ「Google Home」。特にGoogle Home Miniは6,000円という価格の安さから人気を集めそう。家族の賢い秘書として活躍しそうです。

≪詳細記事≫Google、新型スマートスピーカー「Google Home Mini/Max」を発表 Mini・Homeは日本でも展開でradikoや食べログなど日本向けサービスも

日本に根づいたLINEとの連携 LINE「Clova WAVE」

いまや日本にとって無くてはならない存在となったLINE。そんなLINEが10月5日に正式リリースしたスマートスピーカーが「Clova WAVE(14,000円)」です。日本市場に特化した独自のAIエージェントサービス「Clova」を搭載した「Clova Wave」は、LINEのメッセージ返信も可能な日本に根ざしたスマートスピーカーです。

Clova WAVEは「Clova」と話しかけることで、「LINEニュース」と連携した最新ニュースを教えてくれるほか、「LINE MUSIC」が提供する4000万曲以上の楽曲を再生でき、その時の雰囲気やユーザーの好みに合った楽曲をレコメンドしてくれます。もちろん天気予報やアラーム設定などの機能も利用でき、他社のスマートスピーカーと同じように、必要な情報を聞いたり会話したりできます

ただこのClova WAVEの特徴はやはり「LINEの返信ができること」。メッセージアプリ「LINE」と連携して、届いたメッセージを読み上げたり、それに返信したりといった動作を声で行えます。また「家族アカウント機能」は、プライバシーに配慮して、Clova WAVEが読み上げるメッセージは「家族アカウント」に登録したユーザーのメッセージに限定。リビングでプライベートなメッセージが大音量で読み上げられるといったことはありません。

さらにインターネットラジオのRadikoとも連携。Clova WAVEを通じて音声でさまざまなラジオ番組を視聴することができます。

また赤外線リモコン機能を本体に内蔵し、TVリモコンと同じ操作を「声で」行うことができます。

今後は声による話者認識音声翻訳カレンダー管理やメモ帳機能ショッピングやデリバリー、タクシー配車経路検索、鉄道情報、童話朗読といったさらなる機能追加が予定されています。

国内ではもっとも早く発売されたスマートスピーカーであり、Clovaに「社運をかける」としているLINEのスマートスピーカーは普及するのでしょうか。

≪詳細記事≫LINEのスマートスピーカー「Clova WAVE」が正式に発売開始 価格は1万4000円に TVリモコン操作やLINEの返信が声でできる独自機能も

 

「スキル」の追加で使い勝手をカスタマイズ「Amazon Echo」

Amazonの独自AIアシスタント「Alexa(アレクサ)」を搭載するスマートスピーカー「Echo」シリーズは、年内の日本展開が発表されているデバイス。

中でもアメリカで2014年に発売を開始した「Amazon Echo」は、Alexaを内蔵した円筒形のスマートスピーカーで、先日第2世代のモデルが登場しました。北米ではすでに大きなシェアを獲得し、市場シェアはなんと70%にものぼります。価格も新Echoは99.99ドル、Echo Plusは149.99ドル、小さなEcho Dotは50ドル程度幅広いラインナップで、ライフスタイルに合わせてデバイスを選択できます。

他の音声アシスタントと同様、話しかけて音楽を再生したり、天気やスポーツの結果を聞いたりできるのはもちろん、ニュース・Kindle書籍の読み上げや、スマートホームプロダクトと連携して電気のON/OFFやエアコンの調整も可能。さらにはAmazonの注文履歴から再注文を頼んだり、ピザを頼んだり、Uberを呼んだりすることも可能。とにかく「スマホ」の操作に限らない、というのが「Amazon Alexa」の特徴です。

そしてもう1つの大きな特徴が「Alexa Skills」というもの。この「スキル:Skills」 は、スマートフォンでいうアプリのようなもので、音楽を再生したり質問に答えたりといった簡単なことから、ピザを注文したりUberを呼んだりするといったことが可能となります。

ディベロッパー向けのAlexa Skills Kit(ASK)と Alexa Voice Service(AVS)が日本向けにも提供され、既に一部のパートナー企業はASKを利用して開発中で、NTTドコモ、クックパッド、KDDI、積水ハウス、SoftBank、NHK、JR東日本、三菱UFJフィナンシャルG、Yahoo Japan、リクルートHDなどの企業が挙げられています。

これによって普段スマートフォンで利用しているサービスをEchoなどのAlexa搭載デバイスを経由して使うことができ、自分好みに機能をカスタマイズできます。

北米No.1のAmazon Echoが日本でどれだけシェアを獲得するか注目です。

≪詳細記事≫Amazon、音声型AI「Alexa」とスマートスピーカー「Echo」を年内に日本で展開と発表 北米No.1の「Echo」が満を持して日本へ上陸

≪関連記事≫Amazon、スマートスピーカー「Echo」シリーズ第2世代の5端末を発表 独自のAI「Alexa」の音声アシスタントを搭載

Siri搭載の賢い相棒 Apple「Home Pod」

Appleが開発している「Home Pod(349ドル)」は、iPhoneでおなじみのSiriを搭載するスマートスピーカー

こちらもAIアシスタントSiriによって、質問すると答えてくれたり、アラームをセットしたり、メッセージを送ったり、ニュースをチェックしたり、家電を管理したりできます。

大きな特徴は「音」部屋の中でどこに置かれているのかを認識する機能を持ち、部屋の形状に合わせて、音を調整するといい、クリーンな低音を実現する独自の大型ウーファーや7個のビームフォーミングツイーターのカスタムアレイを備え、ピュアな高周波音響を実現。Wi-Fiスピーカーとしても重宝しそうです。

さらには「マイクを6つ内蔵し、大きな音が鳴っていたり、部屋の反対側から声をかけても認識する」ともうたい、ちょっと遠くにいても「Hey, Siri」と話しかけるだけでSiriのアシスタント機能を利用できます。

またApple Musicとひも付き、ユーザーの好みに合わせた選曲や提案が可能。4,000万曲以上を揃えるApple Musicに最適にデザインされているといいます。例えば「Hey Siri、この曲いいね」と言うと、HomePodとApple Musicが何百ものジャンルやムード、何万ものプレイリストの中からユーザーの好みを学び、その音楽の好みはどのデバイスでも共有されます。ミュージックライブラリの中で高度な検索をすることも、「Hey Siri、この曲のドラマーは誰?」といった質問をしたり、家にいる全員と共有できる次に再生する音楽のリストを作成したりすることができます。

HomePodは12月から、まずオーストラリア、英国、米国から販売を開始します。残念ながら日本での発売は未定ですが、iPhone1強の日本での発売は間違いないでしょう。他社のスマートスピーカー普及も後押ししそうですね。

「スマートスピーカー」というからには音を良くしよう、というAppleらしいシンプルかつ高機能なデバイス。その登場が待たれる興味深い製品です。

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スマートスピーカーは普及するか

IT界の巨人たちから次々と発表された「スマートスピーカー」。アメリカなどではすでに普及し始め、日本にもその波はやってきそうです。

よく日本人は「声で検索することをためらう傾向がある」とも言われていますが、家庭であればそんなことはありません。

毎日テレビをつけて天気予報を見たり、スマホや手帳を開いて予定を確認したりといったことを、すべて声で「今日はどんな日?」と尋ねるだけで必要なことを聞き出せる。こんな生活がもうすぐ当たり前になります。

そしてスマートスピーカーはAIが自分のライフスタイルや好みに合わせて学習するので、まさに自分の秘書のように、いや相棒となるでしょう。ユーザー1人1人の趣味嗜好を理解して、今何したいのか、どこに行きたいのか、何を買いたいのか、といった消費者のニーズをタイムリーに正確に理解。ユーザーが全幅の信頼を置く存在です。

影響力は、テレビ、ラジオ、新聞、インターネットの比ではなくなるでしょう。

これがスマートスピーカーに多くの企業が参入し、メーカー同士が連携を進める理由です。

しかし、相棒は1人でいい

ユーザーは自分が一番信頼するAIが搭載されたデバイスを購入し、そのデバイスを通じて生活を豊かにする。「秘書」は複数いても問題ないですが、腹を割って話せる「相棒」は1人でいい

最終的には、その「相棒」の座を狙ってIT界の巨人たちがしのぎを削ることになるでしょう。

そんな未来が、楽しみで仕方ありません。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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