地下鉄工事中の博多駅前で大規模陥没事故 七隈線延伸工事と現場の神対応『もはやシンゴジラ』

【続報はこちら!】

衝撃のニュースが飛び込んできました。

8日午前5時15分ごろ、福岡市博多区のJR博多駅の駅前で道路が大規模陥没した、というニュースです。

早朝に起こった事故であることに加え、地下鉄工事に伴って道路は封鎖されていたため、奇跡的にけが人はなし。

しかし水道・ガス・電気のライフラインが周辺でストップし、さらなる陥没や建造物倒壊の恐れがあることから、周辺住民へ避難勧告が発令されました。

普段はビジネスマンと買い物客でにぎわう博多駅ですが、停電などの影響で休業する施設も多く、周辺の企業も避難勧告によって休業を余儀なくされました。

原因は、福岡市営地下鉄七隈線の延伸工事。福岡市交通局は掘削が原因として謝罪しました。

というわけで今回は、事故の状況を整理しながら、地下鉄七隈線の延伸工事とはどのようなものなのか見ていきます。

じつは高校新聞部時代に福岡市交通局に七隈線について取材をしていました。そのとき得た工事情報なんかも交えながらお伝えしようと思います。

【更新内容は一番下です】

事故概況

nhk

NHKライブ映像より

201611080002_001_m

奥に見えるのが博多駅

8日午前5時15分ごろ、JR博多駅前の市道「はかた駅前通り」の2カ所が縦約10メートル、横約15メートルにわたって陥没しました。

穴は徐々に広がり、5車線の道幅いっぱいの約30メートル四方、深さ約15メートルになりました。

現場は地下鉄七隈線の延伸のための工事中。穴には水が激しく流れ込んでいて、穴がさらに広がる可能性があり、周辺の建物が倒壊する恐れもあるため、福岡市は、周辺のビル10棟に避難勧告を出しました。

付近では停電が発生したほか、ガスの臭いもしており、九州電力や福岡市、県警など、関係者らが状況を調べています。

通勤時間帯と重なったこともあってオフィス街は混乱し、銀行のオンラインシステムで障害が発生するなど市民生活に大きな影響が出ています。

周辺は停電・断水でインターネットもストップ…

博多駅の新幹線改札(友人提供)

博多駅の新幹線改札(友人提供)

九州電力によると、博多駅を含む博多区内で一時約800戸で停電。現在も数箇所で停電が続いています。

JR九州によると、九州新幹線や山陽新幹線、在来線の運行に影響はありませんが、停電の影響で博多駅構内で一部の営業用設備が稼働せず、券売機や運行案内の電光掲示板を予備電源で動かす対応を取りましたが、エレベーターやエスカレーターなどが使えない場所が出ているということです。

ちなみにJR九州管理側の博多口は電気がついていて、JR西日本管理側の筑紫口(新幹線改札側)は電気が消えているという、管区別で電力供給も分かれました。

また博多駅そばにある博多バスターミナルも停電。西鉄バスによると、高速バスや路線バスは平常どおり運行しているということですが、ビルの中の明かりが消えて、真っ暗になっているほか、エスカレーターも停止していて、担当者が懐中電灯で照らしながら、利用者を案内したということです。

福岡市営地下鉄や西鉄バス・電車も平常どおり運行。西鉄の路線バスに運休は出ていませんが、博多駅前を通る2つの路線で「はかた駅前通り」をう回して運行しているということです。

NTT西日本によると、陥没の影響で地下の通信ケーブルが損傷したため、周辺で固定電話やインターネットがつながらないトラブルも発生していますが、復旧の見通しは立っていないということです。

さらに現場から約2・5キロ離れた福岡空港国際線ターミナルも停電しました。その後自家発電に切り替え、現在は復旧したということです。

ふくおかフィナンシャルグループ(FG)によると、陥没事故の影響でオンラインシステムに障害が発生し、傘下の福岡銀行、熊本銀行、親和銀行の全店舗で銀行窓口の入出金業務を停止。福岡県内にある店舗内外に設置した一部のATMも稼働していません

周辺のビルでは断水なども発生。また水道管も破裂し、陥没穴に水がたまっていることから、福岡市は周辺住民に下水道使用の自粛も求めています。

2次被害対策でガスはすでに遮断作業中で、爆発などの危険性のある中圧ガスは遮断完了。あとは細い枝葉の管である低圧ガスを遮断するよう現在作業中だということです。

地下鉄工事が原因

%e5%90%8d%e7%a7%b0%e6%9c%aa%e8%a8%ad%e5%ae%9a-1

陥没した現場付近では、福岡市営地下鉄の七隈線の延伸工事が行われていました。

工事はおととしから行われ、現在七隈線の終点となっている中央区の天神南駅から延伸して博多区のJR博多駅につなげるためのものです。1.4kmの区間をおよそ450億円かけて工事し、今回の現場付近の「博多駅(仮称)工区」は、大成建設など5社による共同企業体が担当。2020年度の開業を予定しています。

福岡市交通局によると、現場付近の地下20メートル余りのところで、この延伸工事に伴ってトンネルを掘る作業をしていたところ、午前5時ごろ、水が流れ込んだため工事を中断していたとののこと。

上下水道は図面があり、トンネルの掘削の際には試し掘りをしながらかなり注意深く作業を進めていた、ということですが、NHKの報道によると、九州大学の安福規之教授の話として「上下水道にあたったというよりは地下水が流れる地層にぶつかったことが考えられる。この地域はかなり昔には川が流れていて水を含んだ堆積物が複雑に積もっていて、大量の水で道路の下の土砂が流出したことが道路の陥没につながった可能性がある」ということです。

福岡市は記者会見して、市営地下鉄の延伸工事が原因だという見方を示し、謝罪しています。

02

ちなみに工事はナトム工法と呼ばれる工法で岩盤を掘削していました。1メートルごとに掘削し、コンクリートの吹きつけ作業を実施しながら進めていく工法で、今回は吹きつけ作業中にトンネル上部から地下水が漏れ出したとみられるということです。既存の雨水管を迂回させるための掘削工事中でした。

奇跡的に被害者ゼロ。

現在の交通規制地図

現在の交通規制地図

午前5時ごろ、水が流れ込んだために掘削工事を即時中止し、現場が博多署に交通規制をすぐに要請しました。

要請から約5分後には「はかた駅前通り」を博多署が交通規制

すると5時15分に道路が陥没し、交通規制のおかげで奇跡的に通行する車も歩行者もおらず、被害者はいませんでした。そして朝のうちに福岡市が周辺に避難勧告を出し公民館などを避難所として開放しました。

これによって奇跡的に、けが人などは出ませんでした。日本の危機管理のすごさに脱帽です

博多は砂の上の町

カシミール3Dによる

カシミール3Dによる

九州の中心として太古から発展を遂げた博多の町ですが、現代から約3000年前の紀元前10世紀頃に縄文海進のピークがあり、博多湾の海岸線は、現在よりも大きく後退していました。現在の大博通りのラインがちょうど砂丘の頂点を結んだ線で、最も高いところです。そのほかは縄文時代に付近を流れる那珂川や御笠川の運んだ砂礫が堆積して形成された土地で、そのほとんどが「博多湾シルト層」という砂礫でできた土地とされています。

その後安土桃山時代から江戸時代にかけては、豊臣秀吉の太閤町割や、黒田氏により築造が行われ、現在の天神と博多の間にあった大きな入り江は消滅。天神側が”武士の町”、博多は”商人の町”として発展を遂げ、福岡市として合併し現在に至ります。

つまり、博多の町は砂の上にあるんです。

地下鉄工事は1.4kmに7年の歳月

%e7%a6%8f%e5%b2%a1%e5%9c%b0%e5%9b%b3

大博通りを通る地下鉄空港線は、先ほど述べたように旧地形の頂点を結んだ線上にあるので、他の場所と比べて地盤は固いのですが、今回工事が進められている地下鉄七隈線の延伸部分は那珂川の上を通るうえに周辺にビルや地下施設が多いため、事故の起きた博多駅付近は地下で支えながらトンネルをつくるナトム工法で工事が進められています。

そして先ほど述べたように博多は弥生時代から現代にかけて同じ場所で文化が発展し続けてきたこともあり、工事をすすめるとすぐに遺跡などが出てきて、発掘調査が進められています。そのため工期が延び、わずか1.4kmの区間にもかかわらず7年という歳月がかかるということです。(以前、NHKのブラタモリ#17博多でも紹介されていましたね)

ちなみに延伸によって、福岡の2大商圏である博多と天神が現在の地下鉄空港線よりも早く結ばれ、中間駅が設置される付近の大型商業施設「キャナルシティ博多」もあることから、現在はバスが主流の天神博多間の交通状況が大きく変わり、渋滞緩和や時間短縮につながり、回遊性が向上します。(博多駅と天神を今回の地下鉄ルート上を地上で結ぶ道路「国体道路」は、道幅が狭く、交通渋滞が慢性化している)

そして先月には初めて200万人を突破した訪日外国人観光客。福岡空港とも博多駅での乗換によって七隈線延伸が結ばれ回遊性の向上と魅力向上で、さらなる発展が期待されています。

おわりに

というわけで今回は、(ガジェットニュースがなかっただけだけど)博多駅前の陥没事故と七隈線の延伸についてお伝えしました。

8月に帰省したときも、はかた駅前通りは6度くらい通りました。。早朝に通ったこともあったので、ホントあのときに起こらなくてよかったです…

福岡を支える博多で起こった事故。七隈線の延伸に響くことは間違いないのは非常に残念です。博多の動脈のような道路(電気ガス水道も動脈だった)ですし、周辺にはJR九州の本社や朝日新聞、西日本シティ銀行本店など、有名企業のオフィスやホテルなどがずらりと並んでいます。いち早く復旧してほしいものです。

なにより、奇跡的にけが人が出なかった対応の早い現場と福岡県警・福岡市、そしてあの道路もルートとしているはずの西鉄バスが平常運行なのには脱帽です。(さすがバス保有日本一の西鉄)

ちなみに現在、NHKが現場のリアルタイム配信を行っています。興味のある方はご覧ください。

【追記・更新】

穴の埋め戻しを開始 もはや『シン・ゴジラ』?(追記:8日18時)

%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%97%e3%83%81%e3%83%a3-1

NHKライブカメラより

福岡市は午後13時半ごろから、陥没でできた穴を応急的に埋め戻す作業を始めたと発表しました。

福岡市交通局によると、周辺の建物や土の崩壊を防ぎ、被害の拡大を防ぐのが目的で。流動化処理土と呼ばれる埋戻し材を投入しますが、電気やガス管などの復旧にも対応する必要があり、「可能な範囲で埋め戻していく」方針だということです。道路の仮復旧にもつなげることも予定しています。

埋め戻し完了の時期は未定で、「時間はかかる」見通しだということです。

また現場では、重機を使い歩道を掘削する作業も続けられていて、陥没した箇所に水が流れ込むのを防ぐため、仮設の水道管を設置するためだということです。

ネット上では「もはや『シン・ゴジラ』だ」「ヤシオリ作戦だ!」と話題になるほどのミキサー車の数とコンクリートホース!

NHKのライブカメラで見てみると次から次へとやってくるミキサー車。友人の話だと、現場周辺の道路では『ミキサー車渋滞』が起こってるみたいです。まさにヤシオリ作戦で東京駅周辺で第2波投入を待つダンプカー群のよう。

本当に今回は対応の速さで人命もそれ以上の甚大な被害を抑えることができ、素晴らしいですね。

大成建設株が反落 地下鉄工事請け負う(追記:8日19時)

b0181744_16381120

8日の東京株式市場で大成建設の株価が約3%下落しました。同社は今回の事故の原因とみられる地下鉄工事の共同企業体(JV)の代表企業。事故に伴う補償の発生など業績への影響を懸念する「売り」が出た形です。

大成建設の株価は前日比24円(3%)安の759円で取引終了。一時は4%近く下げ幅を広げました。

日経新聞によると、大成建設は10月24日に、建設事業の利益率好転に伴って2016年4~9月期の連結の業績予想を上方修正していたということです。大成建設を含む5社の建設会社がこの工区の事業を2013年12月に共同企業体として落札していました。

駅の停電は復旧 福岡銀行のシステム障害もほぼ解消(追記:8日22時)

JR西日本によると、JR博多駅にある新幹線の改札口やホームは道路が陥没した影響で、8日朝から停電していましたが、8日21時20分ごろに復旧したということです。

新幹線改札口やホームは、停電のため8日午前5時すぎから停電し、一時、自動改札機や電光掲示板が使えなくなりました。この影響で、山陽新幹線は午後1時ごろから停電に伴う安全確認を行ったため、一時、最大で35分の遅れが出ました。

また、ふくおかフィナンシャル・グループ傘下の福岡銀行などの窓口で入金や出金などができなくなっていましたが、午後3時ごろにほぼ復旧しました。バックアップの回線に切り替える復旧作業を進めた結果、すべての銀行でほとんどが復旧したということです。

ただ、福岡銀行のみ、銀行の店舗ではない場所に設置してある一部のATM約100台が今も使えず明日も使えない状態が続く見通しだということです。

ふくおかフィナンシャルグループは今回のシステム障害の影響で、ほかの銀行やコンビニなどのATMで振り込みなどを行った客の手数料について、後日振り込んで負担するとしています。(NHK報道より)

高島宗一郎・福岡市長がFBで対策本部の話を公開(追記:9日0時)

福岡市の高島宗一郎市長が、自身のFacebookで対策本部の工事担当者に対して質問し、その回答を公開しました。

その文章をご紹介します。

①穴に溜まった水は抜かないのか?
A.水は抜いてはだめ。逆に地下水レベルまで水が溜まったので地盤が安定した。土砂崩れは穴が空いた部分と周りの地下水を含んだ土のレベルが違うので土砂の移動がおきる。陥没事故対応の基本は水を入れること、とのこと。

②水はこれ以上増えて溢れないのか?
A.周辺の地下水と溜まっている水のレベルが同じになった。また下水の大きな排水管部分までの水位になったので、そこから排水される。

②道路復旧までの手順は?
A.まずは穴を埋めるために流動化処理土というものを入れる。これは水の中でも固まるもの。地上近くの地下埋設物(電気、電話、ガスなど)のレベルまで埋めて、固まったら中に入って電話や電気、ガスを復旧して、さらに埋めて車が通れるように仮復旧する。

③何日くらい掛かるのか。
A.埋めるのに最長3日。あとは電気や電話を繋ぐなどの復旧の時間が未知数だが、さらにそこを上から埋めれば通行可能になる。

④陥没を埋めるための流動化処理土を投入する量を増やして時間を早められないのか。
A.特殊な薬剤なので福岡市だけで一日に作れる量が限られている。他都市に支援を頼んでも持ってくる間に固まってしまう。全てこの薬剤ではなく、現在は他のものが使えないか検討している段階。

⑤下の基礎がむき出しになっている建物もあるが、大丈夫なのか。
A.交差点沿いの建物は全て地盤まで杭が届いている。計測しているが現在のところは時間が経過しても傾きなどは発生していない。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

あわせて読みたい