AndroidがOS別世界スマホ出荷シェアで過去最高の88%に なぜ日本だけiPhoneシェアが69%もあるのか

米調査会社Strategy Analyticsが11月3日に発表した7~9月の世界でのスマートフォン出荷調査によると、OS別でAndroidのシェアが過去最高の88%になりました。

総出荷台数は6%増の3億7540万台。インドや南アフリカなどの新興国市場での需要が成長を支えたということです。

一方で日本でのOSシェアは2016年1月のデータですがiOSが50.3%でトップ、Androidが48.7%となっており(カンター調べ)、世界の動向とは逆行する形でiPhoneが独り勝ちを続けています。

というわけで今回は調査データを見ながら、なぜ日本だけiPhoneシェアが高いのか、見ていきたいと思います。

Androidシェア増は、iPhone販売減速が原因か

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Androidのシェア増には、米AppleのiPhoneの、中国およびアフリカでの販売減速が貢献したとStrategy Analyticsは分析しています。BlackBerryとMicrosoftのWindows Phoneは戦略変更でほぼ消えてしまい、一方、Tizenなどの新興OSは搭載端末が増えておらず、伸びはありません。

ただ、Android端末は飽和状態で収益を上げられているメーカーは少なく、Googleがオリジナル端末「Pixel」および「Pixel XL」を発売したことは、これまで協力してきた多くのパートナーメーカーに対する攻撃とも捉えられ、これらはAndroidにとっての課題となっていると、Strategy Analyticsは指摘しています。

なぜ日本のiPhoneシェアは世界に反して高いのか

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世界的に見て、主要国の中でiPhoneのシェアがAndroidを上回っている国はありません。

iPhoneは発売するたび、「過去最高の予約数」と発表されますが、実は鵜呑みにしてはいけません。なぜなら、アップルはiPhoneの新製品を発売する毎に、初日に販売する国を増やしているからです。特に昨年のiPhone 6sからは中国市場が初日販売に仲間入りしたことで、「過去最高の予約数」は必然のものと言えるのです。

 

トレンドの大波に乗ったiPhone

Photo via unicase.jp

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実はこの「過去最高」!という響きも、「みんな買うから買う」という日本人の習性に関係しています。

現代日本で、iPhone人気に真っ先に火がついたのは、クリエイターやファッションリーダー系の層からです。嗅覚が鋭く、文化的影響力を持つトレンドセッターが、好んでiPhoneを利用したことが、多くの追随者を生み、iPhoneを大衆のものへと押し広げる推進力となりました。

 これに加えてAndroidよりも面白いアプリがたくさんあることがテレビなどでも紹介されたり、アップル製品のシンプルで洗練されたデザイン、それにカバーなどをつけて簡単に自分好みに装飾できる魅力がファッション雑誌などで広がったり、周辺機器やアクセサリーが充実していることがITメディアで広がったりという形で広まりました。
 こうしてある程度まで人気が広がった後は、日本人独特のあれです。

日本人は「自分だけ違うもの」を持ちたがらない傾向にあります。まわりでiPhoneが普及すれば「自分もiPhone」という空気に流されるかたちで、商品選びをします。iPhoneが普及したことで、さらにiPhone人気に拍車がかかるというわけです。

もちろん、何かトラブルがあったり充電ケーブルを忘れた時でも、学校や職場で利用者が多いiPhoneを選んでおけば、すぐに助けが得られるということもあります。(まあ実際はAndroidユーザーと同数だし、充電ケーブルに至ってはLightningケーブルの方が数は少ないんですが)

iPhoneは世界では”ハイエンド”

Photo via statista.com

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世界の携帯市場は主にハイエンド(高機能・高価格帯)、ミドルレンジ(中級)及びローエンド(低機能・低価格帯)の3種類に分かれ、ミドルレンジ及びローエンドのカテゴリーが市場の大半を占め、そして顧客は、自分の収入等から購入可能なカテゴリーを選び、購入します。

iPhoneは、世界中でほぼ同一の仕様で廉価版が存在しないため、世界中の携帯市場でハイエンドとして扱われています。(日本では廉価版と思われていたiPhone 5cも、世界的には十分ハイエンドなんです)

よって、世界の携帯市場ではハイエンドを購入可能なごく一部の人からしか選ばれないため、どうしてもiPhoneのシェアが低くなります。

しかし日本では、各キャリアが販売時に大量に補助金を投入していることもあり、世界基準で見るとハイエンドの商品が非常に安く購入できます。そのため、日本ではミドルレンジ及びローエンドに当たる携帯市場が事実存在しませんでした。

世界では主に金銭的な理由でごく一部の人しか購入できないiPhoneを、日本ではスマートフォンを購入するすべての層が選択肢に加えられるため、結果としてシェアが他の国々より圧倒的に高いのです。

なぜAndroidは安くならなかったか

Photos

Photos via NTT docomo

世界では安いはずのAndroid端末が、実際には日本で育った独自機能(おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信など)を盛り込むことにより、iPhoneと同等か、それより高い価格で売られています。

いわゆる”ガラパゴス化”です。

フューチャーフォンの時代から発達した独自機能は普及し始めたスマートフォンにも盛り込まれました。

スマートフォンに買い替える際には誰もが上位互換したいと考えます。もしもそこで廉価版を売ってしまえば、機能をそぎ落とした低スペックの製品で日本人を満足させることはできなかったでしょう。そもそも廉価版のAndroidというポジションがあり得なかったのです。

iPhone自体が世界標準に比べると安くなっていることに加えて、Android自体も世界標準で見て高くなっているのです。

つまりほぼ同じ価格。同じようなスペック(確かにiPhoneに日本独自の機能はなかった)で同じ値段であれば比較されるのはブランド力でしょう。

アップルの巧みなキャリア戦略

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アップルが上手かったのは、日本で最初にiPhoneを扱ったキャリアをソフトバンクにして、独占的に販売させたというのが大きいでしょう。

当時のソフトバンクは、iPhoneという武器を独占的に手に入れたことで、徹底的に販売キャンペーンを行って、急速に契約者を奪っていきました。

さらに、アップルは次にKDDI、2年前にNTTドコモといったようにシェアの小さいところ大きいところへと取り扱わせることにしました。当時のNTTドコモは、自分たちのサービスを載せられないiPhoneを敬遠していましたが、最後は押し切られる形でiPhone導入をせざるを得ませんでした。アップルの巧みなキャリア選定が、結果として日本でiPhoneを普及させるのに成功したのです。

3キャリアで同じiPhoneを扱うことで、キャリア間での料金やキャンペーンが過熱したのも、iPhone人気を加速させることにつながりました。

iPhoneがLTEに対応すれば、各社でLTEネットワークの広さや速度などの品質を争うし、古いiPhoneを下取りするキャンペーンが始まれば、各キャリアで一斉に導入が進みます。そしてiPhoneが発売されるタイミングに合わせて、各社のキャンペーンが盛り上がります。

ユーザーからすれば、新iPhoneが発売されるタイミングにiPhoneを購入すれば値引きされ、得する機会も多くなります。

つまり、「Androidを買うよりもiPhoneのほうが得」という結果となり、さらにiPhone人気が高まるのです。

”嫌韓”がiPhoneシェア増を後押し?

ドコモから発売されたGalaxyy S7 Edge

ドコモから発売されたGalaxyy S7 Edge

ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が米調査会社ガートナーの調査データから伝えるところでは、今年1~3月期のスマホ販売数の世界シェアは、サムスンが23%で首位、次がアップルの15%だった。日本では断トツ人気のiPhoneですが、世界シェアでみると、韓国・サムスン電子(SAMSUNG)がアップルをしのぎ、首位の状況が続いています。

 

にもかかわらず、日本市場におけるシェアは、アップル、ソニー、シャープに次いで4位。首位のアップルとは、3倍以上の開きがあります。

ある韓国メディアは「新作の不振は日本市場だけだ」と分析しましたが(産経新聞)、サムスンは昨年のGalaxy S6から日本人の「韓国製離れ」を意識して、日本仕様の製品から自社ロゴを外し、Galaxyブランドを前面に出す販売戦略に変更。それでも、日本市場でアップルの「牙城」を崩すことはできませんでした。

日本でiPhoneが圧倒的なシェアを誇る背景には、世界トップのサムスンがシェアを一向に伸ばせないことも大きな要因として挙げられます。ただ、韓国のネット上では、日本市場で苦戦するサムスンについて同情的な見方も多く、「欧米人に対する劣等感の表れ」「アジア人を見下す日本人特有の排他性が原因」などと憶測まで広がっているほどです。

おわりに

というわけで今回は長々と、なぜiPhoneが日本で圧倒的シェアを誇っているか見てきましたが、いかがだったでしょうか。

まとめると、洗練されたiPhoneブランドの影響力、日本人特有の気質、キャリアの競争で生まれたiPhoneの安さとAndroid端末の高機能によって生じた価格の高さが日本でのiPhoneシェアを高めました。

さすが”ガラパゴス”国家。

これからも日本でのiPhone優位はしばらく変わらないでしょうが、すこしはAndroidにも目を向けてください(Androidユーザーからの要望)

それでは!

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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