宮城球場は「Koboパーク宮城」、千葉スタジアムはZOZOTOWNが命名権獲得 運営側を救う命名権システム

楽天は10月31日、宮城球場のネーミングライツ契約を2017年から3年間更新したと発表しました。現在は「楽天Koboスタジアム宮城」(略称:Koboスタ)ですが、来年からは「Koboパーク宮城」(略称:Koboパーク)に改称されることになります。

ネーミング契約の更新といえば、千葉マリンスタジアムです。現在のQVCマリンフィールドの命名権を所有するQVCジャパンとの契約が12月1日付で途中解除されることに伴うもので、市と球団による審査を経て11月上旬に新たな命名権取得者を決めます。

そして京都市が、大規模改修する京都市美術館の命名権を、京セラに約50億円で売却すると発表し、波紋を呼んだことも話題ですね。

というわけで今回は、そんな命名権についてです!

「楽天」の名を外した宮城球場

20140506_02 楽天は10月31日、宮城球場のネーミングライツ契約を2017年から3年間更新したと発表しました。現在は「楽天Koboスタジアム宮城」(略称:Koboスタ)ですが、来年からは「Koboパーク宮城」(略称:Koboパーク)に改称されることになります。

新名称の「パーク」には「ボールパーク構想」を反映したといいます。球場に集う人々が、野球の試合だけでなくスタジアム内外の施設や催しなど様々なエンターテインメントを楽しめる場所―という楽天による構想を込めたものです。

新名称からは「楽天」の名が外れました。楽天によれば、「3年間使用した『楽天koboスタジアム宮城』という名前によって楽天グループの『Kobo』としてブランドが浸透してきた」ため、より耳になじみやすい名にしたということです。

契約は、宮城県・楽天野球団と締結し、期間は17年1月1日~19年12月31日の3年間。契約金額は2億1708万円だということです。

「マリン残して」千葉市要望

千葉マリンスタジアム

千葉マリンスタジアム

 千葉市は28日、千葉ロッテマリーンズの本拠地、QVCマリンフィールドの新たな命名権の優先交渉権者に、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営する「スタートトゥデイ」(千葉市美浜区)を選定したと発表しました。

 現在命名権を持つテレビ通販大手「QVCジャパン」との契約は12月1日付で途中解除されるため、市は11月中の正式契約を目指しています。

 千葉市では契約期間5年以上、命名権料年間2億5000万円以上の条件で取得希望者を募集。4社が応募しましたが、名称案や地域貢献活動についても考慮し、スタートトゥデイを優先交渉権者としたとのこと。同社の命名権料は年間3億円を超える見通しです。

 選定理由について熊谷俊人市長は「金額はもちろん、本社が千葉市にある企業で地元への愛着も強いと感じた。千葉市とともに発展できる。(市側は新名称に)『マリン』を入れていただきたいと要望した。良い形で発表できると思う」と毎日新聞のインタビューに答えています。

 QVCマリンフィールドはQVCジャパンが2011年に約10年間の命名権を取得し、千葉マリンスタジアムから改称しました。しかし同社は今年6月、市に対して命名権契約の解除を申し入れました。同社が市と球団に計3億3000万円の違約金を支払って12月1日以降の契約を解除することで3者が合意していました。

 図らずも再び通販大手の命名権獲得になりましたね。

京都市美術館は命名権売却で批判浴びる

京都市美術館

京都市美術館

京都市は、大規模改修する京都市美術館の命名権)を、京セラに約50億円で売却すると発表しました。同館は再開業する2019年度から50年間、通称が「京都市京セラ美術館」になります。京都市は改修費用を捻出するため、命名権を売却する企業を募集していました。

京都市美術館は老朽化に伴う大規模改修や新館建設を計画しています。来年4月から休館し、2019年度に再開業する予定。再整備の費用は約100億円の見通しで、命名権の売却で半額を賄えるとしています。

市施設の命名権売却は9例目で、今年1月に開業したロームシアター京都(京都会館)ではロームに52億5000万円で売却していました。

 しかし京都市議会は10月26日の本会議で、市美術館のネーミングライツ売却や再整備工事の入札不調について、市執行部に対し「議会と十分な議論を行い、市民の信頼を回復」することを求める決議を全会一致で可決。 「80年の歴史がある文化施設に企業の名前をつけるなんて」と、住民らが集めた反対署名は2000筆に迫ったといいます。

 意見書は、命名権売却制度の対象施設について一定の制限をするなど、市が議会に見直しを約束していたにもかかわらず、市美術館に関しては2019年度中の完成に間に合わないとして現行制度を適用したことを批判したものです。

 京都市の見通しの甘さが出てしまったと指摘され、入札不調を受けて設計内容を見直し、再入札をする方針で、開業も数か月遅れる見通しです。

施設運営側は安定的な費用確保目的

日産スタジアム

日産スタジアム

 日本の公共施設での命名権は2003年、東京スタジアム(東京都調布市)が「味の素スタジアム」になったのが最初とされています。その後「日産スタジアム」(横浜国際総合競技場)、「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」(広島市民球場)など、一般に定着する成功例が続き、全国に広がっています。

 自治体が契約料や期間などの条件を示し、スポンサー企業を募集するのが一般的で、多くの場合、正式名称は変えず「愛称」として命名されます。導入目的のほとんどは「施設の管理・運営費の確保」が約6割(鳴門教育大の畠山輝雄准教授の調査)で最多。ただ、契約期間は「5年」「3年」が8割近くを占め、短期間で名称変更が繰り返されることへの批判もあります。

由比ヶ浜の名はそのままに

uminoie-2015-20150711_005 そして命名権を獲得したが名前を変更しなかった例もあります。

 2014年、鳩サブレ―でお馴染みの菓子製造業の豊島屋が、由比ガ浜など鎌倉市海水浴場の命名権を購入したにも関わらず、海水浴場の名称を従来通りのままとして話題となりました。豊島屋は2014年5月、由比ガ浜、材木座、腰越の3つの海水浴場のネーミングライツを年間1,200万円(10年契約)で取得。

 しかし豊島屋が、鎌倉市海水浴場の愛称を公募した時に多かったのが、地域の人たちの「そのままがいい」という声。同社の発表によると、由比ガ浜は「由比ガ浜海水浴場」、材木座は「材木座海水浴場」、腰越は「腰越海水浴場」と、従来の名称にそれぞれ最も多くの応募があったそうです。

 これに対して、同社の久保田社長は「昔ながらの慣れ親しんだ名前になってよかった。海水浴場という言葉が死語になりつつある中でこの呼び名が入っていていいと思う」と語っていて、ネットなどで称賛の声が上がりました。

おわりに

 というわけで今回は「命名権」についてみてきました。

  2012年には関西国際空港がある大阪府泉佐野市が、財政難から市名の命名権を売却しようとした、という話もありました。

 命名権というのは定着したり愛着ある名前になれば「日産スタジアム」「マツダスタジアム」「味スタ」「レベスタ」「ヤフードーム」、銚子電気鉄道の駅名などなど、市民に愛される存在になることもありますが、最近では住民に受け入れられなかったり、売却しようとしても買い手が集まらないという事例も多々あるようです。

 ぜひともこれから命名権を獲得する企業は、愛着を持てて呼びやすい名前をぜひつけてほしいものです。

 それでは!

【追記 2016.11.18】

プロ野球ロッテは18日、本拠地のQVCマリンフィールドの名称を、来月1日から「ZOZOマリンスタジアム」に変更すると発表しました。

 QVCジャパンとのネーミングライツ(命名権)契約が途中解約されることに伴い、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが、千葉市および球団と新たに契約を結び、命名権料は年間3億1000万円で、10年契約。(時事通信)

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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