国交省答申案にみる、羽田空港アクセス新線計画の今後は?

関西の鉄道ばっかりやってたので(関西の大学生だから仕方ない)、今回は首都圏の鉄道計画です。

2020年の東京オリンピック、そして政府が進める訪日外国人観光客3000万人の達成に向け、東京国際空港(羽田空港)のアクセス向上は、東京の最優先課題でしょう。

現時点で計画されているのはJR貨物線の延伸で各JR路線から羽田空港に乗り入れる計画、東急多摩川線の矢口渡駅から蒲田駅・京急蒲田駅を経由し、羽田空港に乗り入れるいわゆる「蒲蒲線」計画、押上~新東京~泉岳寺を結び、現在の都営浅草線と同様、京成押上線および京急本線と直通運転を行うことで成田と羽田を結ぶ計画です。

2016年4月7日、国土交通大臣の諮問を受けた交通政策審議会は、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(案)」を発表しました。これは東京周辺の鉄道整備の計画を評価し、整備を促す役割があります。東京圏で要望されたさまざまな鉄道計画について交通政策審議会が審議し、重要度の高い計画を選定する。これが「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(案)」です。今後、広くパブリックコメントを募集し、勘案した上で、正式に国土交通大臣に意見します。諮問に対しての返事なので「答申」となり、「交通政策審議会答申○号」と呼ばれますね。

というわけで、今回はそんな国交省答申案にみる、羽田空港アクセス新線の今後を見ていきましょう。

「国際競争力の強化に資する鉄道」へ

交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(案)」によると

 空港へのアクセス利便性の向上については、都心からのアクセス利便性を 向上することは引き続き重要であるが、それに加え、日本全体を牽引する東 京圏の国際競争力の向上や観光立国の実現のためには、ビジネスの観点や観 光立国の観点、圏域外への広域移動の観点、またそれらの観点でのアクセス 利便性の向上に資する乗換利便性の観点等、より幅広い観点で多方面からア クセス利便性を向上すべきである。 新幹線駅へのアクセス利便性の向上についても、国土形成計画(全国計画) において、全国各地における対流の促進やリニア中央新幹線により三大都市 圏を一体化させるスーパー・メガリージョンの形成を推進することとされて おり、東京圏と他圏域との対流の促進、スーパー・メガリージョンの効果の 増大といった観点から、新幹線駅へのアクセス利便性の向上を図ることが重 要となっている。リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅や各方面への新幹 線の始発駅となる東京駅をはじめ、大宮駅、新横浜駅、橋本駅へのアクセス について、空港アクセス同様、幅広い観点からアクセス利便性を向上すべき である。

とあります。空港のアクセスにすするプロジェクトとしては4つがあげられており、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクトはここに掲げ るプロジェクトに限られるものではなく、地方公共団体、鉄道事業者等において必要な検討が進められることを期待する」とあります。

それでは実際に見ていきます。

都心直結線の新設

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・押上駅において京成押上線と相互直通運転を行う。

・泉岳寺駅において京急本線と相互直通運転を行う。

この路線によって成田空港及び羽田空港と国際競争力強化の拠点である都心や都区部東部の観光拠点とのアクセス利便性の向上や京成本線、北総線、京急本線沿線等と都心やリニア中央新幹線の始発駅と なる品川駅とのアクセス利便性の向上が期待されています。

しかし都心部での大深度地下におけるトンネルや駅等の施工条件を考慮する必要があります。そのため答申書でも「事業計画を精査した上で事業性の見極めが行われることを期待。さらに、関係地方公共団体・鉄道事業者等において、事業主体や事業スキーム等について、十分な検討が行われることを期待」とあります。

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ちなみに現在は都営浅草線で成田空港と羽田空港との間で京急・都営浅草線・京成線で相互直通運転が行われていますが、都心直結線が建設されれば、都営浅草線の混雑緩和と、現在は乗換の必要な東京駅からのアクセス向上が見込まれます。

新東京駅の設置場所は、東京駅の西側200m、丸の内仲通りの地下を想定しています。JR東京駅丸の内口と地下鉄千代田線二重橋駅の中間地点にあたる、地下鉄大手町駅とも隣接する場所です。リニア中央新幹線が品川駅を終着駅とする前、東京駅を終着駅とするといわれていた場所ですね。

この都心直結線が開業すれば、新東京駅から羽田空港へ18分、成田空港へは36分で結ばれます。2023年頃の完成目標とされ、年間利用者は8000万人、うち空港利用者は1000万人を見込んでいます。建設費は4000億円超。民間から資金を集めインフラを整備するPFI方式を活用する計画。国交省はすでに2013年から調査費を計上し、地質調査も始めています。

JR羽田空港アクセス線の新設

田町駅付近・大井町駅付近・東京テレポート駅と羽田空港を、東京貨物ターミナル(品川区)付近を経由して結びます。田町駅付近で東海道線と、大井町駅付近や東京テレポート駅でりんかい線と直通運転を行い、さらに新木場駅から京葉線へも直通するようにします。

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・田町駅付近において東海道線と相互直通運転を行う。

・大井町駅付近及び東京テレポート駅においてりんかい線と相互直通運転 を行う。

・新木場駅において京葉線とりんかい線の相互直通運転を行う。

01t羽田空港と国際競争力強化の拠点である都心や新宿、渋谷、池袋、臨海副都心とのアクセス利便性の向上が見込まれるJR東日本の既存ネットワークとの直通運転。

たとえば東京駅で東北新幹線等と連携すること等により、北関東等と羽田空港との大幅なアクセス利便性の向上が見込まれます。休止線等の既存ストックを活用することにより、全線新線整備の事業よりも早期整備が可能です。

が、しかし2020年のオリンピックまでの暫定開業は不可能で、2024年の全線開業を目指すという報道もありました。

現在は貨物ターミナルから羽田空港新駅までのルートは確定していますが、その先どこにつながるのかは確定していません。

もしこれらの路線がすべて開通すれば、東京駅から羽田空港まで現在28~33分なのが18分、新宿からは現在の46分が23分、新木場から41分なのが20分に短縮します。

新空港線の新設(蒲蒲線)

東急多摩川線の矢口渡駅から蒲田駅・京急蒲田駅を経由し、京急空港線の大鳥居駅を結びます。東武東上線・西武池袋線方面から東京メトロ副都心線と東急東横線を介して、羽田空港へアクセスできるようにします。

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・矢口渡駅において東急多摩川線と相互直通運転を行う。

・大鳥居駅において京急空港線と相互直通運転を行う。

矢口渡から京急蒲田までの先行整備により、京浜東北線、東急多摩川線・東急池上線の蒲田駅と京急蒲田駅間のミッシングリンクを解消し、 早期の事業効果の発現が可能です。

東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転を通じて、国際競争力強化の拠点である新宿、渋谷、池袋等や東京都北西部・埼玉県南西部と羽田空港とのアクセス利便性が向上します。

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新大田区案

矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成が進むべき、と答申書では書かれています。

蒲蒲線計画では、蒲田駅に東急多摩川線の地下駅を新たにつくり、そこから京急蒲田駅の地下までを結びます。大田区による計画ではまず矢口渡駅 – 京急蒲田駅を東急多摩川線と同じ狭軌(1067mm)で建設して東急多摩川線の全列車を乗り入れさせ、次いで京急蒲田駅 – 大鳥居駅間は京急空港線と同じ標準軌(1435mm)で建設、フリーゲージトレインで東急東横線・東京メトロ副都心線方面から羽田空港までの直通列車を運転するとしています。京急線へのフリーゲージトレインによる乗り入れが難しいとしても、京急蒲田駅の地下まで路線を作り、そこからエレベーターやエスカレーターで京急線のホームに上手につなぐだけで、便利になります。

大田区は、蒲蒲線の概算建設費を1080億円と試算しており、都内への経済波及効果は初年度に2385億円になると見込んでいる。そのうち利用者の消費支出は325億円で、この支出は初年度のみの建設投資による効果と異なり、その後も年々続いていく。

この路線は大田区がかなり力を入れて整備を進めていて、現在最も実現が近い路線です。

駅の質的進化も重要

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「広域的な交通ネットワークの拠点となる駅」としては成田空港・空港第2ビル・品川・浜松町・大宮・新横浜・橋本駅があげられており、鉄道路線とあわせ、改良や改善を検討すべきとなっています。

おわりに

品川や浜松町からは近いのに、それ以外からは遠い羽田空港。

それが近くなれば他路線の混雑も緩和されますので、メリットはたくさんです。

早く実現してくれると空港ユーザーにはとてもうれしいです笑

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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