「なにわ筋線」ついに実現 阪急が新線建設で乗り入れも 2031年春全線開通で関空へのアクセス大幅向上

大変長らくおまたせした「なにわ筋線」のニュースです!

大阪府と大阪市、JR西日本、南海電気鉄道、阪急電鉄の5者は、大阪の都心を南北に貫く鉄道新線「なにわ筋線」阪急電車が乗り入れる新たな事業計画で3月17日、大筋合意しました。

建設構想の浮上から約30年を経て、なにわ筋線計画が新たな形で決着することになります。

関西国際空港と大阪都心の所要時間が大幅に短縮できるだけでなく、各社の乗り入れで乗客の利便性が高まることが期待されます。

【追記 2017.5.22:「4駅を設置する」とするなにわ筋線の事業計画が判明しましたので追記しています。合わせて路線図も改変しています。阪急電車の長期事業計画発表にも触れています。】

【追記 2017.5.23:5者(大阪府、大阪市、JR西日本、南海電鉄、阪急電鉄)の共同リリースが公開されました】

2021年着工、2031年春全線開通へ

 

なにわ筋線JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」(過去記事)JR西日本が地下に建設中の東海道線支線の新駅「うめきた新駅(仮)」(過去記事)から、JR西日本のJRなんば駅、南海の難波駅とつなぎ、関空と結ぶルートを想定したもの。完成すれば大阪市中心部と関空が現状の1時間前後から40分以下に短縮されるとあって、長らく待望論がありました。

検討案では、阪急がうめきた新駅と十三駅をつなぐ新線を建設し、なにわ筋線に乗り入れることも検討されています。阪急は十三-新大阪の鉄道免許を取得しており、将来的には新大阪に新駅を作る構想もあります。阪急電車となにわ筋線の連絡が実現すれば、神戸・京都方面に延びる阪急沿線と、和歌山方面に延びる南海沿線が1本につながり、関西の新たな南北軸が誕生することになります。

なにわ筋に地下鉄を作るという構想は1980年代からあり、2004年の近畿地方交通審議会答申8号で「中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」とされたものの、具体的な建設となると、採算性などが壁になって合意が得られませんでした。2016年の近畿地方交通審議会答申で「中長期的に望まれる新路線」と位置づけられ、国は概算建設費を約1800億~約3200億円と試算されていました。近年は外国人観光客の大幅な増加を受けて、4者で本格的な協議が行われていたようです。

大阪市は18年度政府予算概算要求に、なにわ筋線の事業費を盛り込むよう国交省に要請する方針。予算化されれば、18~20年度で環境アセスメントや都市計画手続きを終え、2021年度に着工します。2023年春にうめきた新駅が開業し、2031年春の全線開通を目指します。

《追記》

読売新聞(2017.5.22)によると、2013年春の完成を目指し、4者は近く計画を公表。国との協議を本格化させるとのこと。

4者が合意した計画では、うめきた新駅の他に「中之島」「西本町」「南海新難波」(いずれも仮称)の3駅を新設北梅田―西本町間をJR西と南海の共同運行とし、西本町以南は別路線に分かれ、関空まで結ぶ事業計画です。

総事業費は3300億円を見込んでいます。

梅田ー関空間40分以下に

 

なにわ筋線が完成すれば大阪駅から関西国際空港までの所要時間はJRで約68分から最速約40分に、南海では大阪市営地下鉄梅田駅から難波駅で乗り換え約56分かかるのが最速38分になります(国交省試算)。

現在は、関空特急「はるか」などが京都・新大阪駅発で運行されているものの、東海道支線を通るため一大ターミナルである大阪駅には停車しません。また関空快速もダイヤの過密な大阪環状線を経由して運行するため、所要時間の短縮が難しいのが現状です。

なにわ筋線の開通で、関空特急「はるか」は、関空から天王寺・難波・大阪梅田・新大阪という巨大ターミナルを経由して運行する最強の空港特急となり、快速などの運行形態も変わって空港快速が京都線やおおさか東線直通になる可能性もあります。

南海線にとっても、悲願でもある梅田への乗り入れが実現し、関空特急「ラピート」だけでなく、南海の電車が梅田まで運行されるのです。そのため、南海にとって、うめきた新駅乗り入れは、なにわ筋線計画に加わる絶対条件でした。

中之島、うめきた新駅は誰の手に

うめきた新駅は、JR西日本が主体となって「東海道線支線地下化・新駅設置」として整備を進めています。この「東海道支線の地下路線」となにわ筋線が接続するので、うめきた新駅に南海が乗り入れる場合は、JR西日本がそれを認めることが前提になります。

難波方面からなにわ筋線を経て梅田・新大阪への乗り入れを求める南海に対し、JR西日本は当初、難色を示していましたがそれが受け入れる姿勢に転じたことで、協議が進展します。しかし朝日新聞によると協議開始後もうめきた新駅から中之島駅までの営業権をめぐり、JR西日本と南海の協議が難航していたとのことです。

ようやく合意に至ったのは、「JR西日本が北梅田―中之島間の南海の営業権を認め、南海がJR西に使用料を支払うことで両社が大筋合意」したためだということで、建設へ向け大きく前進したのです。

また、日本経済新聞によると「南海が北梅田駅までの鉄道免許を取得し、JR西と南海の両社が新大阪~関西空港駅の間を共同運行する方向で最終調整中」とのこと。

「鉄道免許を取得」というのは、南海が第二種鉄道事業者としてうめきた新駅まで乗り入れるということです。「共同運行」の意味は曖昧ですが、なにわ筋線の線路を共用するという意味とみられます。整備方式については、「新設する第三セクターが鉄道インフラの整備資金を負担し、鉄道会社が長期的に運行収益で返済する上下分離方式が採用される見通し」だそうです。

総額4000億円とみられる建設費の分担や、南海が支払う使用料は調整中だということです。

ちなみに、中之島駅が新設されることで一番得になるのは、京阪です。

京阪中之島線は、2009年に開業した京阪の新路線ですが、開業前の予想を大きく下回る利用者数で、現在は運行本数が削減されています。京阪中之島線は地下鉄路線と直接乗り換えられる駅がないため、ターミナル駅へ向かう需要は京阪本線に流れていました。

なにわ筋線が開通して中之島駅ができれば、京阪中之島線から梅田や新大阪へむかえるだけでなく関空までも行けることになり、事業に参画していない京阪ですが、大きなオコボレを得られそうです。

阪急の突然の参画で変わること

今回、なにわ筋線の建設で大筋合意したというニュースにも驚いたのですが、なによりびっくりしたのは「阪急の参画」です。

当初、うめきた新駅~JR新大阪駅の区間までは府・市・JR西・南海の4者で協議する方針でした。

ですが阪急電鉄が阪急線十三駅とうめきた新駅をつなぐ新線構想を「なにわ筋線関連事業」として協議するよう4者に打診うめきた新駅~新大阪駅とうめきた新駅~十三駅の2区間については阪急を含む5者で協議する方向となりました(日本経済新聞)。

また前述の通り、阪急は十三―新大阪駅を結ぶ新路線建設も検討しています。実現すれば阪神間や北摂から関空方面へのアクセスも改善することになり、とても便利になります。阪急は長期事業計画で、新大阪ー十三間の新規路線を整備することを盛り込んでいますし、近いうちにその事業計画も発表されるかもしれませんね。

とはいえ、阪急は標準軌、JRと南海は狭軌で、線路の幅が違います読売新聞によると「新線の軌道はJR西、南海と同じ幅とし、専用の車両を新たに開発する見込み」とのこと。つまり阪急新線は、既存路線に乗り入れない、独立した狭軌新線になります。

つまりなにわ筋線は、うめきた新駅で分岐し、一方が十三を経て新大阪へ、一方が直接新大阪へとつながることになりそうです。南側については、JR難波付近でJR関西線につながり、新今宮付近で南海本線につながる形になります。

一体なぜ阪急は突然参入をしたのでしょうか。なにわ筋線が完成した場合、梅田エリアから関西空港へのメインルートはなにわ筋線になることは確実。ところが、なにわ筋線のうめきた新駅は、阪急梅田駅から離れていて乗り換えには不便です。

となると、阪急沿線から関西空港へのアクセスは、既にほぼ平行に走っているJRに総取りされてしまう可能性があります。しかし、十三でなにわ筋線に乗り換えることができれば、阪急沿線から関西空港へ利便性が確保される、といった具合でしょう。

南海の新大阪乗り入れはあるのか

もう一つ、阪急が参画した理由として、南海電鉄の折り返しに関わることがあります。報道によれば、JRは南海のうめきた新駅までの営業権を認めたものの、新大阪駅乗り入れには難色を示しているようです。新大阪駅から関西空港へのアクセスは、現時点ではJRの独壇場ですので、そこに南海が参入するのを嫌がった、という事情が伺えます。

新大阪駅に南海電車が乗り入れた場合、その車両をどう折り返すかという問題もあります。現段階で、JR線として運行されたなにわ筋線の電車は、新大阪駅からおおさか東線(建設中)に乗り入れる予定(過去記事)ですが、南海電車までおおさか東線に入れるわけにはいきません。

そこで、なにわ筋線を北上してきた車両を、うめきた新駅もしくは新大阪で折り返さなければならなくなります。しかし、阪急が十三経由で新大阪への路線を敷けば、南海の新大阪駅乗り入れが阪急経由で実現します。これによって南海電車の折り返しも容易になります。つまり南海にとって阪急のうめきた新駅乗り入れは、まさに渡りに船。おそらくは事前に両社の話し合いがあったと推察できます。

また南海ですが、以前の計画では汐見橋駅で南海線に接続する計画でしたが、現計画では南海難波駅の近くに新駅「南海新難波」を建設し、新今宮で南海本線に乗り入れる計画に変更されています。

まとめ

 

今回の計画を簡素化してまとめた概略図です。

この図の通り、なにわ筋線の運行形態は大きく分けて次の2種類になると思われます。

  • JR京都線orおおさか東線直通ー新大阪ーうめきた新駅ーなにわ筋線中之島ーなにわ筋線西本町ーJR難波ー新今宮ー天王寺ー関西国際空港
  • (阪急新大阪)ー阪急十三ーうめきた新駅ーなにわ筋線中之島ーなにわ筋線西本町ー南海新難波ー新今宮ー関西国際空港

こういう形の2系統で、なにわ筋線の線路は共有しながら、JRと民鉄で健全な競争が期待できそうです。

長いこと議論がありましたが、ようやくなにわ筋線の実現へ向けて前進しました。

また完成すれば、うめきた新駅は、JR阪和線、大和路線、京都線、おおさか東線、南海本線、阪急線の各方面へとつながる、一大ターミナルとなります。そして関西空港へのアクセスばかりが注目されますが、梅田エリアから大阪府南部へのアクセスが大きく改善されることにも意義があります。

そして大阪環状線の西半分の列車がなにわ筋線に移れば、環状線各駅停車の運転増が期待でき、一般ユーザーにとっても利便性向上につながります。

このように、大阪の都心を繋ぐ大きなプロジェクトがなにわ筋線です。もちろん、莫大な建設費の負担問題などなど、まだまだ問題が山積みですが、完成後の大阪は大きく変わっていると思われます。

2025年の万博跡地にカジノができていたり、うめきたの再開発エリアが完成して梅田エリアが大きく変わっていたり、USJにNintendoエリアができてさらに盛り上がっていたり、京阪中之島線がUSJまで延伸してたり…。と、妄想は膨らみます。

本当にこのような大型路線プロジェクトとなったなにわ筋線。完成が楽しみです!

*関連記事

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

あわせて読みたい