富士通、レノボとPC事業統合、合弁会社設立へ 辿るのはNECと同じ道 国内PC業界再編進む

01衝撃のニュースが飛び込んできました。

富士通が、不振が続くパソコン事業の立て直しに向け、世界最大手の中国レノボ・グループと合弁会社を設立し、事業を統合する方向で調整に入ったというニュースです。

富士通といえば個人向け・法人向けともに日本国内シェア2位をキープし続け、1位のNECレノボに対抗し、PC事業を立て直すため東芝とソニーから分社したVAIOとのPC部門合併交渉がありました。

しかし4月に3社合併は頓挫。

そんな中海外メーカーとの合弁会社設立というニュースでまさにVAIO分社以来の衝撃です。

というわけで今回は、そんな富士通のレノボとのニュースを詳しく見ていきます。

富士通、PC事業をレノボ傘下に

まずは富士通のニュースから。

日本経済新聞によると、

 富士通はパソコン事業を中国レノボ・グループの傘下に移す方針を固めた。合弁事業とし、レノボが過半を出資する方向で調整している。月内の合意をめざす。富士通は今年2月に非中核分野としてパソコン事業を分社しており、レノボに主導権を渡すことでITサービス事業などに経営資源を集中する。パソコン世界首位のレノボの規模を生かし、部品の調達や製造のコストを削減する。

「FMV」ブランドのパソコンを手がける富士通は、2015年度の出荷台数が400万台だった。出荷の大半を占める国内市場ではシェア2位で、1位のNECレノボ・グループを追っている。だがパソコン市場の縮小などで採算が悪化しており、15年度は「3ケタ億円の赤字」(富士通)だった。

富士通は東芝のパソコン事業やVAIOとの統合も模索したが、合意に至らなかった。富士通首脳は「短期的に黒字にはできるが2~3年後の状況は不透明だ」とみて、他社との事業統合などの可能性を検討してきた。工場も含めて統合する案を提示したレノボを選んだ。

新会社は当面、NECレノボとは別のグループとして経営する方針。FMVブランドのパソコン事業を継続し、徐々に企業やブランドの統合を検討していくとみられる。

(日本経済新聞2016年10月6日朝刊より抜粋)

22al Lenovo(レノボ)は2011年にNECと共同出資会社を設立し、NECのパソコン事業を統合しました。共同出資会社傘下のNECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンの2社が日本国内向けに事業を展開しています。NECの「Lavie」やレノボの「ThinkPad」などのブランド展開がなされていて、日本にあるNECの工場の一部でレノボのThinkPadなどを製造しています。

富士通は、「FMV」ブランドでパソコン事業を手がけ、福島県伊達市と島根県出雲市に工場があり、それらの工場で生産した製品に「Made In 出雲」「Made In 伊達」と冠して販売を行っています。
一方、レノボは、2005年にアメリカのIBMのパソコン事業を買収したあと、2011年にはNECとも事業を統合し、世界最大手のパソコンメーカーに成長しました。
富士通の国内の2つの工場については、事業統合後も維持する方針ですが、製造部門は実質的にレノボに移行する方向で調整を進めています。

富士通、近年は事業改革ラッシュ

富士通は、1980年代からパソコン事業を手がけ、国内市場で2位のシェアを占めています。しかし、スマートフォンやタブレット端末の普及を背景に出荷台数は世界的に減少を続け、2007年度の881万台をピークに、2015年度には半分以下の400万台に落ち込んでいました。

2009年の間塚道義氏が代表取締役会長 兼 社長に就任した後、富士通は事業の見直しを行います。

2010年、携帯電話事業を東芝と統合させる事を発表。東芝とともに、同社が株式の8割超を持つ新会社・富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(のち富士通モバイルコミュニケーションズに社名変更)の事業を開始。富士通は、2009年度の携帯電話出荷台数で日本国内3位でしたが、東芝との統合により2位に浮上しています。

さらに2015年、PC事業および携帯電話事業を、それぞれ100%子会社にすることを発表。

同年12月には、東芝、VAIOとの3社によるパソコン事業を統合する検討に入りましたが、2016年4月に解消となりました。

東芝・VAIOとの統合交渉は「白紙」

ソニーの次は?

o-toshiba-fujitsu-vaio-facebook 総合家電メーカーとして知られる東芝は、PC業界において最古参の存在。1985年に欧州で世界初のラップトップ型PC「T1100」を発売して以来、国内外で高い認知度を誇ってきました。その勢いは現在も続いており、「Windows 10発売後の1週間で北米で最も売れたPCは東芝製だ」と米マイクロソフトは語るほど。

しかしPC市場は縮小の一途をたどります。2015年第4四半期の世界PC出荷台数は前年比10%減。15年通期では10.3%減となり、頼みの綱だったWindows 10の投入も効果は薄かったのです。

特にコンシューマー向けPCの落ち込みは大きく、背景にはスマートフォンやタブレットの普及、Windows 8の失敗、PCの性能向上による買い替えサイクルの長期化など、さまざまな要因があります。その中で14年、大きな決断を下したのがVAIO事業を売却したソニーだ。

この「VAIOショック」のあと、次に脱落するのはどのメーカーか、PC業界で話題になってきました。

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国内最大手のNECは、PC市場で世界最大シェアを持つレノボと組んでおり安泰。

続く国内シェアを持つ富士通や東芝は、コンシューマー向け中心だったソニーとは異なり、国内の法人市場に強い。その基盤は盤石とみられてきたました。

事態が急変したのが、15年5月の東芝による不正会計問題の発覚です。同社はPC事業についても利益水増しを行っていたことが明らかになり、室町正志社長はPC事業の構造改革に言及。法人ユーザーから不安の声も上がり始めるなか、12月21日にはついにPC事業の子会社化を含む、構造改革プランを発表します。「B2B(法人向けビジネス)重視」です。これは14年以降、東芝が打ち出してきた路線を踏襲したもので、今後も定期的な買い替え需要が期待できる法人市場を狙った動き。個人向け市場は国内を主軸とし、海外市場を縮小しました。

対する富士通は、16年春を目処にPC事業の子会社化を進めていました。富士通・東芝の両社からPC事業の切り離しが完了した暁には、これら2つのPC子会社の統合も見えてくる。実現すれば、10年に富士通が設立した東芝との合弁会社、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(現富士通モバイルコミュニケーションズ)の再来になりそうでした。

基本戦略は、富士通と東芝がそれぞれに強みとしている技術や市場を合体させ、重複する部分を削ぎ落とすことで、国内市場で首位を独走するNECレノボ・ジャパングループに対抗することが考えられます。最新の国内PC出荷台数調査では、NECレノボのシェア29.4%に対し、富士通・東芝を合計すると29.5%になるからです。

「戦略ビジョンが見えず」

2016年4月16日、日本経済新聞は同日付朝刊で、VAIOの大株主である投資ファンド・日本産業パートナーズや富士通・東芝が、現状では3社統合による大きなメリットが見込みにくいとして、交渉継続は難しいと判断した──などと報じました。生産拠点の統廃合で意見がそろわなかったことも一因ということです。

東芝と富士通はPC事業を分社化し、VAIOはソニーが売却したPC事業が母体。PC市場は縮小傾向が続いており、統合を見送る場合、各社単独で生き残るための戦略が必要でした。

安泰のNECレノボ

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今年、レノボとNECの合弁会社設立は4年目を迎える。

レノボ・ジャパンとNECPCは事業の一体化を進め、社長も両社で同じながら、なおも別法人のまま。やや不自然に見える体制を続けるのは、国内でレノボのブランド力が特に40代以上の一般消費者の間で十分に浸透していないため、NECの看板を掲げる必要性があるからのよう。

納期や性能が顧客開拓に結び付きやすいサーバーに比べて、一般消費者を相手にするスマホはブランド力がより重要になる。国内パソコン市場では26%のトップシェアを握るNECレノボはPC以外の収益柱を育てられるか、新事業開拓なども行うかもしれません。

おわりに

というわけで富士通がLenovoとPC部門を統合するという衝撃のニュースをお伝えしました。

国内PC業界はもう成長分野ではなくなってしまいました。。富士通はITサービス分野に力を入れていくということで、オリンピックのスポンサーにもなっていますからそちらの事業拡大にも期待したいと思います。

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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