幻となった「なにわ筋線」 大阪府が推進していた鉄道延伸計画は橋本氏退任で頓挫?

昨日、「うめきた2期」の再開発で、うめきた新駅が設置される、と言ったときに触れていた「なにわ筋線」についてです。

個人的にはとても期待していた路線であったのですが、どうやら橋本氏の退任でとん挫してしまったみたいです。

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橋本劇場の終焉

大阪市の解体と特別区としての再編、いわゆる「大阪都構想」を巡る住民投票が実施されたのは2015年5月17日のことでした。

当日夜、開票が進んでも賛否の票差はほとんど開かず、NHKが22時30分過ぎに「大阪住民投票 反対多数が確実」とテロップを出した時、画面下の開票速報ではまだ賛成がわずかに上回っていました。最終結果も僅差で、「劇場型政治家」らしい幕切れだったと思います。

この8年間、主人公であった橋下徹前大阪府知事、現大阪市長は何を語ってきたのか。橋本氏が示してきた大阪地区の鉄道のビジョンについて振り返ります。

突然飛び出した「なにわ筋線」

2008年の大阪府知事当時、1兆円を超える有利子負債を抱える関西国際空港株式会社をどのように再建させるのか、国土交通省と大阪政財界を中心に大問題となっていましたが、橋下知事は選挙前には特に考えを示していませんでした。就任後も、関空の利用促進政策への補助金削減を語ったり、伊丹空港の廃止プランを披露して兵庫県、国土交通省との波風を立てたりした程度。

ところが、突然、なにわ筋線の話を持ち出してきました。「なにわ筋線が実現すれば梅田と関空が30分台で結ばれる」「大阪市内とのアクセスが改善すれば関西空港の経営難は改善する」とあちこちの会合や記者会見で訴えかけはじめたのです。

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なにわ筋線とは、難波付近~なにわ筋~北梅田駅(仮称)~新大阪駅に至る地下鉄構想で、JR西日本阪和線と南海本線と相互直通することが想定されていました。

計画構想は1980年代からあり、2004年の近畿地方交通審議会答申第8号「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として盛り込まれ、また、太田房江大阪府知事(当時)を会長とする近畿開発促進協議会の07年6月の協議では、なにわ筋線を「大阪都心を南北に縦断する都市交通線として重要である」と位置づけて早期具体化を示していました。(読売新聞より)

その後、2008年11月に橋下知事は、大阪の都市軸を東西に広げるためのインフラ整備の一環として、大阪北ヤード – JR難波駅間の建設を挙げ、「関空活性化に不可欠」と国に働きかけ、国土交通大臣が関西国際空港へのアクセス改善策として検討を表明し、国土交通省がJR西日本・南海電鉄・大阪府・大阪市からなにわ筋線建設に向けた基本合意を取り付けるとされました。

また、2009年4月17日にはJR西日本や関西大手私鉄5社・大阪府・大阪市・関西経済界の首脳が懇談会を開催して、大阪都心部と関西国際空港を30分台でつなぐ「なにわ筋線」について、建設が必要との認識で一致していました。(日本経済新聞より)

計画通り完成すれば、JR西日本と南海によって、大阪の陸路の玄関口である新大阪駅、空路の玄関口である関西国際空港と大阪の都心部である梅田・中之島・難波が一直線に結ばれます。

建設総額は3000 – 4000億円と見積もられていますが、国、大阪府や大阪市の財政が悪化し、実現を遠ざけているとされますが、北梅田駅付近 – 新大阪駅間の設備を梅田貨物線と共用することで事業費を圧縮できるとされました。これが前回ご紹介したうめきた新駅とうめきた2期再開発ですね。

2012年には、なにわ筋線に代わって、阪急新大阪連絡線・西梅田・十三連絡線を建設し、阪急・南海と連絡させるルートも検討されています。

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2015年、大阪府都市整備部は、なにわ筋線について2015年度中の事業化判断を目指すこととなりました。以後は大阪市、南海電気鉄道、JR西日本と共同調査を行い、事業費の精査と事業スキームを検討するようです。

橋下知事は2009年4月に近畿運輸局など関係団体を集めて、なにわ筋線に関する懇談会を開いています。(東洋経済オンラインより)

「建設区間を北梅田駅~難波間10キロに圧縮すれば建設費を3000億円に抑えられる」「都市鉄道等利便増進法を活用すれば、国と自治体と民間で建設費を3分の1ずつ負担で済む」と前向きな発言をし、なにわ筋線ができれば、関西空港も大阪経済も劇的に改善できると主張しています。

それでも、建設するムードにはなかなかならなりませんでした。

関空アクセス鉄道を担うJR西日本、南海とも、「慎重に判断する必要」と「費用負担に限界」と鮮明にしませんでした。建設費の負担を押しつけられることを懸念したのでしょうね。。

進展は、なし。

ただ、2016年現在、なにわ筋線の構想が具体化する目処は立っていません。橋下市長が初めて言及してから8年も経つのに、なぜ具体化しないのか。

まず、大阪府民、大阪市民が、なにわ筋線にほとんど関心を示さなかったことが大きいでしょう。経由地は地下鉄四つ橋線のすぐ西側、今でも交通の利便は良いエリアであるためです。あればそれなりに便利ではあるが、どうしても必要というほどの切迫感はないんです。確かに新大阪方面から難波へのアクセスは格段に良くなるんでしょうが、現在でも乗換をすれば行ける距離ですもんね。

また、関西空港活性化のために必要だ、という触れ込みも理解してもらいにくかったのです。実際、「梅田と関空が30分台」というが、今の「はるか」が北梅田駅を発着したと想定すると関西空港駅まで約45分。なにわ筋線・JR難波駅経由だと42分程度。わずか3分の時間短縮で関西空港の利用者が飛躍的に伸びるとは考えにくいのです。30分台で走り抜けるなら、阪和線内でも相当スピードアップしないと不可能な数字なのです。

東京でも、似たような計画があって凍結したものがありますよね。押上ー浅草ー(東京駅)ー泉岳寺の都心連絡線です。これがあれば成田と羽田が直接結ばれることになるんですが、他の路線を充実させることとなり実現しませんでした。

JR難波・南海難波駅では準備済み?

JR新大阪駅から北梅田駅(仮称)を経て、なにわ筋の地下を南下し、難波周辺に至るという当初の計画ルートではJR難波駅・南海汐見橋駅までを結ぶ2ルートであったが、南海難波駅までのルートも検討対象となり、新大阪駅ではおおさか東線とも接続することも検討されています。

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JR難波駅のなにわ筋(予定)接続方面

JR西日本は、関西本線(大和路線)のJR難波駅と同駅 – 今宮駅間 1.3kmを1996年になにわトンネルとして地下化しており、この地下化でJR難波駅のホームの構造は頭端式から通過式に変更され、なにわ筋線との接続・直通を準備した構造になっています。

また南海電鉄は、1990年になにわ筋線の竣工と同時に、南海高野線(汐見橋線)の汐見橋駅 – 木津川駅間 1.5kmを現経路の地下へ移設し、汐見橋駅・芦原町駅を地下駅にする構想を発表。

しかし、2009年4月17日に行われた懇談会では、南海電鉄は、大阪市営地下鉄御堂筋線の混雑緩和や事業性などの観点から、難波駅での接続構想も示し、また、自治体関係者らの実務者レベルの検討会では、南海が「キタとミナミという都市拠点をつなぐ観点でルートを考える必要がある」と述べたことから、南海本線難波駅までを結ぶルートを検討対象に加えることを提案していました。国土交通省近畿運輸局は、いずれの3ルートも技術的に建設可能としたが、難波駅から延伸する場合は地下ホームの新設と分岐のため配線変更が必要で、周辺に地下街などはあるが空間的に可能と判断されました。

おわりに

というわけで、今回は「なにわ筋線」についてみてきました。

残念ながら計画はストップしており全く進展がありませんが、今後他の路線などで新大阪ー関西空港のアクセスが良くなることは確実ですし、阪急の西梅田十三連絡線などもまだ検討中です。

まだまだ期待できるかもしれませんので、見守りたいと思います(笑)

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mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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