KDDIが800億円でビッグローブを買収発表 光回線2位に急浮上 富士通系Niftyも身売り検討か 格安SIMのゆくえは?

KDDIは12月8日、プロバイダー業者(インターネット接続事業)大手のビッグローブ(BIGLOBE Inc.)を約800億円で買収すると正式に発表しました。2017年1月末をめどに日本産業パートナーズ(JIP)が持つビッグローブ株を全株取得し、完全子会社化します

KDDIは、ネット接続でBIGLOBEの200万人超の会員を取り込み、収益拡大につなげる狙いです。また、富士通からニフティの個人向け事業を買収する方向で詰めの交渉に入っていて、ビッグローブとの「ダブル買収」を狙っています。スマホ市場の成長が鈍化するなか、ネット通販や電気など通信事業以外の収益源の多角化を急いでおり、ネット接続の顧客基盤を新サービス拡大に生かすのが目的と見られます。

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NTTにつぎネット接続2位へ浮上

KDDIはネット接続(光回線)で国内7位。ビッグローブの買収でNTTコミュニケーションズ(OCN)に次ぐ2位に浮上することになります。契約者数は約127万件から約370万件に増え、国内シェアは約13%になる見通し。

1986年に創業したビッグローブは、インターネットやモバイルの接続サービスを展開しています。2016年9月末時点で、インターネット接続サービスには200万人以上、モバイル事業では約40万人のユーザーを保有しています。ビッグローブは2006年にNECが分社化し、14年にJIPが約700億円で買収。JIPは投資回収のため売却先を探していたところで、KDDIと合意しました。

一方のKDDIは、auのケータイやスマートフォンで3858万契約があり、固定通信サービスも904万契約に上ります。ビッグローブの子会社化で、それぞれの顧客基盤や事業ノウハウを生かした事業展開を実施。KDDIが進める「au WALLET」や「au WALLET Market」などの決済サービスや物販事業も両社のシナジーを活かし、事業拡大を行う計画です。

富士通系Niftyも身売り検討か

富士通は先月14日、子会社ニフティ(Nifty Corp.)個人向けインターネット接続事業を売却する手続きに入りました。1次入札を始めており、KDDIや伊藤忠商事など6~7社が応札の意向を示しています。年内にも売却先を決める予定です。

パソコンからスマートフォンへの需要シフトで固定回線を利用したネット接続サービス事業は伸び悩んでいて、今回のビッグローブ買収やニフティ売却を機に業界再編が進みます。

既に候補はKDDIと伊藤忠商事に絞られているとみられ、事業全体を買収した場合、200億円規模になるとみられます。富士通は東証2部上場だったニフティを株式公開買い付けで7月に100%子会社化。ニフティの企業向けクラウドサービス事業を本体に取り込みネット接続など個人向け事業は他社との連携を模索すると表明していました。(日本経済新聞

ニフティは、ビッグローブと同じくネット接続事業の老舗で1986年創業。2016年3月時点のブロードバンド接続会員数は134万人光回線の接続事業では国内8位。16年3月期の売上高は668億円で5年間で3割以上減少していました。

KDDIが急ぐのは「経済圏」づくり

携帯キャリア大手はスマホとのセット販売で割安なプランを提供して利用者を獲得し、ネット接続でシェアを伸ばしてきました。長期利用する人が多いネット接続の顧客を増やすことで携帯の契約者をつなぎ留める狙いもあります。

KDDIがネット接続に目を向けたのはスマホの次の収益源を確保するため。「au WALLET」「au WALLET Market」などの物販や電力のほか、生損保や決済サービスなど非通信事業の育成に力を入れています。ネット接続の会員を取り込んでauブランドによる「経済圏」づくりを急いでいるのです。

海外の通信大手も「脱・スマホ」の動きを強めています。今年7月、大手通信事業者のVerizonがYahooの買収を発表しました。VerizonによるYahoo買収も、Yahooのメディアと広告事業でVerizonの通信事業に活かすためでした。また以前ご紹介したようにアメリカのAT&Tは9兆円近くを投じて、いわゆる「メディアコングロマリット」のタイムワーナーを買収する計画です。ニュースや映画、ドラマなど映像コンテンツを取り込み、事業の多角化が狙いとされています。ソフトバンクグループも3兆3千億円強で半導体設計専業の英アーム・ホールディングスを買収。ネットの頭脳となる半導体をおさえて、IoT時代への布石を打った形です。

これに比べ、KDDIはこれまで自社ブランドの展開のみにとどまっていたため、今回のビッグローブ買収で大きな収益源を確保できるでしょう。自社の電子マネー「au WALLET」を使ってもらい顧客を囲い込む戦略で、これらauブランドの「経済圏」の取引高を2兆円規模に育てる目標を掲げています。主力の携帯電話事業は好調ですが、長期的には契約者数が伸び悩み通信料金収入が落ち込む事態に備えます。

気になるのは格安SIMのゆくえ

光回線とMVNO(仮想移動体通信事業者)の双方で多数の会員を抱えるビッグローブの買収により、キャリア大手が拮抗しつつある市場環境のなかでも、最大手の地位を守り続けるNTTグループに対抗し、勢力図を一挙に広げられる可能性があります。

KDDIは当初MVNO市場への積極的な関与を手控えていましたは、結果としてNTTドコモ回線を借りたMVNOの台頭を許す結果となっています。ソフトバンクも、旧イー・モバイルの「ワイモバイル」を格安SIM相当のサブブランドと位置づけ攻勢を強めています。KDDI系のUQコミュニケーションズもCMを大量出稿するなどしていますが、出遅れ感は否めません。

一方、ビッグローブやニフティは比較的早い段階から格安SIMサービスを展開していて、KDDIにとっては、UQコミュニケーションズに加えビッグローブを傘下に収めることで、MVNOという伸び盛りの市場において少しでも大きな業者を確保するというメリットが期待できます。

ビッグローブもニフティも、格安SIM回線は今のところNTTドコモ網だが、これをKDDI網に切り替えさせれば、回線シェア増大と連結ベースの利益率拡大という2つのメリットが望めます。

おわりに

というわけで今回はビッグローブの買収についてみてきました。

もしNiftyの買収も成功すれば、KDDIはNTTに対して少しは対抗できることになり、業界再編が進むでしょう。

まだまだドコモもdポイントなどの普及やdビデオやdヒッツなどのサービス拡充で自身の経済圏を固めにかかっています。NTT首位が覆せるのか、みものです。

それでは!

mamesuke

福岡出身、関西で学ぶ大学生。学生メディアとして、大学新聞で活動中。ガジェット好き、旅行好き、カメラ好き。鉄道もちょっとかじってます。

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